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「兼ぬ〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

兼ぬの前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
邪宗門」より 著者:芥川竜之介
師の申し条に疑いあって、仏菩薩が妖魔か、天上皇帝が邪神か、決定《けつじょう》致し兼ぬるとあるならば、いかようにも法力《ほうりき》を較《くら》べ合せて、いずれが正....
婦系図」より 著者:泉鏡花
接にお話しなすって、御縁があれば纏る分。心に潔しとしない事に、名刺一枚御荷担は申兼ぬる、と若武者だけに逸ってかかると、その分は百も合点で、戦場往来の古兵。 取....
血の文字」より 著者:黒岩涙香
が老人の甥が時々申ますに伯父は命を取られると云う場合には随分百万|法くらいは出し兼ぬと云いました」目科は心の中にて「ふゝむ予審判事は何かの書面を頻りと書記に写さ....
菊模様皿山奇談」より 著者:三遊亭円朝
が、これ/\と渡邊に打明けていう訳にはいかずと、云えば直に殺されるか、刺違えて死兼ぬ忠義|無類の極頑固な老爺でございますから、これを亡いものにせんけりアなりませ....
知と疑い」より 著者:寺田寅彦
も疑う所のない点を疑う人は知識界に一時機を画する人である。 一人にしてその二を兼ぬる人ははなはだまれである、これを具備した人にして始めて碩学の名を冠するに足らんか。(大正四年ごろ)....
雪たたき」より 著者:幸田露伴
だ者で無くては出ぬ語調だった。女は其の調子に惹かれて、それではまずいので、とは云兼ぬるという自意識に強く圧されていたが、思わず知らず 「ハ、ハイ」 と答えると同....
霊訓」より 著者:浅野和三郎
モーゼスは敢然として病者の介抱救護に当り、一身にして、牧師と、医者と、埋葬夫とを兼ぬる有様であった。その勇気と忠実と親切とは、当然教区民の絶大の敬慕を贏ち得たが....
佐藤春夫氏の事」より 著者:芥川竜之介
四、佐藤の詩情は最も世に云う世紀末の詩情に近きが如し。繊婉にしてよく幽渺たる趣を兼ぬ。「田園の憂欝」の如き、「お絹とその兄弟」の如き、皆然らざるはあらず。これを....
八犬伝談余」より 著者:内田魯庵
師の女房にコロリと一杯喰ってアベコベにフン縛られる田舎相撲らしい総身に知恵の廻り兼ぬるドジを時々踏むほかは、皆余りに出来過ぎている。なかんずく、親兵衛に到って極....
迷信解」より 著者:井上円了
ははなはだ疑わしい。また、狸の腹鼓も石をもって物をうつ音なりという人あれども信じ兼ぬる。とにかく、狐の作用にそのなんの目的に出ずるかは知らざれど、多少人をして疑....
四十年前」より 著者:内田魯庵
してジスレリーやグラッドストーン、リットンやユーゴーらの操觚者と政治家とを一身に兼ぬる文明的典型を学ぶようになったからだ。政治家肌がこういう傾向になったのもまた....
画工と幽霊」より 著者:岡本綺堂
関係の私が何して偶然に見たのであろう、加之も二晩もつづけて見るというのは実に解し兼ぬる次第で、思えば思うほど実に不思議な薄気味の悪い噺だ。で、主人の驚愕は私より....
欧米各国 政教日記」より 著者:井上円了
て去ることあり。すなわち小懇親会なり。ゆえに、米国の寺院は説教場のほかに待合所を兼ぬるものなり。 政教子、ニューヨーク府にありて一日公園に遊び、古今の英雄・学....
六号室」より 著者:瀬沼夏葉
。 かくてイワン、デミトリチは宿を借ることも、療治することも、銭の無いので出来兼ぬる所から、幾干もなくして町立病院に入れられ、梅毒病患者と同室することとなった....
中世の文学伝統」より 著者:風巻景次郎
運の輩なり」といったり、「頭中将(為家のこと)馳せ来つて云ふ……参議に任じ侍従を兼ぬと……運の早速なること更に筆端の及ぶ所にあらず……未だ三十に及ばずして八座(....