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「兼帯〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

兼帯の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
高野聖」より 著者:泉鏡花
ば総菜畠《そうざいばたけ》の芋《いも》も掘《ほ》る、近い所へは車夫も勤めた、下男兼帯《げなんけんたい》の熊蔵という、その頃《ころ》二十四五|歳《さい》、稀塩散《....
幽霊塔」より 著者:黒岩涙香
をも整理して呉れる筈だ、其の様な事柄には仲々面白い意見を持って居るよ、己は先ア娘兼帯の秘書官を得た様な者だ」と云い、更に思い出した様に「シタがお浦は何うした」と....
半七捕物帳」より 著者:岡本綺堂
って出てゆくと、やがて彼の辰蔵の店のまえに来た。小料理屋といっても、やはり荒物屋兼帯のような店で、片隅には草鞋や渋団扇などをならべて、一方の狭い土間には二、三脚....
耽溺」より 著者:岩野泡鳴
ような――実に、面白くなかった。顔を洗うのもそこそこにして、部屋にもどり、朝昼|兼帯の飯を喰いながら、妻から来た手紙を読んで見た。僕の宿っているのは芸者屋の隣り....
売色鴨南蛮」より 著者:泉鏡花
のである。 二人が、この妾宅の貸ぬしのお妾――が、もういい加減な中婆さん――と兼帯に使う、次の室へ立った間に、宗吉が、ひょろひょろして、時々浅ましく下腹をぐっ....
第二菎蒻本」より 著者:泉鏡花
目には、博覧会の茶座敷を見るがごとく感じられた。が、入る時見た、襖一重が直ぐ上框兼帯の茶の室で、そこに、髷に結った娑婆気なのが、と膝を占めて構えていたから。 ....
黒百合」より 著者:泉鏡花
親と祖父とがあって、はじめは、湯島三丁目に名高い銀杏の樹に近い処に、立派な旅籠屋兼帯の上等下宿、三階|造の館の内に、地方から出て来る代議士、大商人などを宿して華....
星女郎」より 著者:泉鏡花
(いいえ、沢山、私は卑いようなけれども、どうも大変にお肚が空いたよ。) とお肴兼帯――怪しげな膳よりは、と云って紫の風呂敷を開いた上へ、蒔絵の蓋を隙かしてあっ....
探偵夜話」より 著者:岡本綺堂
お風呂が沸きましたと知らせました。この男は麓の村の者で、前の署長の時代から小使い兼帯でここに雇われているのだそうです。名は六助といって、もう六十に近い巌乗らしい....
家なき子」より 著者:楠山正雄
る十一スーでは昼食と晩食を食べるには足りなかった。そこでわたしたちは一食で両方|兼帯の昼食を食べて、満足しなければならなかった。 わたしたちは巡査に出っくわさ....
剣侠」より 著者:国枝史郎
までグッスリと寝、起きると物臭さそうに顔を洗い、小綺麗な小間使お里の給仕で、朝昼兼帯の食事をし、青簾を背後に縁へ出て、百合と蝦夷菊との咲いている花壇を、浪之助は....
式部小路」より 著者:泉鏡花
う今の青柳町へ、世話をする事になったに就いて、その時の縁で、お賤が、女中、乳母、兼帯のおもり役。 とここまで……愛吉にお賤が言って聞かせて、見なさい、そういう....
雪柳」より 著者:泉鏡花
、のちに、私がその「魔道伝書」のすき見をした時も炬燵櫓……(下へ行火を入れます)兼帯の机の上に、揚ものの竹の皮包みが転がっていました―― そういった趣で、啖う....
明治劇談 ランプの下にて」より 著者:岡本綺堂
めてでも置くような必要が起こった場合には、その執筆を申付けるつもりで、一種の書記兼帯に狩り出されたらしかった。その第一回は二十八年二月はじめの月の明るい夜で、場....
斎藤緑雨」より 著者:内田魯庵
の薬味箪笥が自宅に備えてあった。その薬味箪笥を置いた六畳敷ばかりの部屋が座敷をも兼帯していて緑雨の客もこの座敷へ通し、外に定った書斎らしい室がなかったようだ。こ....