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内懐
「内懐〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
内懐の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「路上」より 著者:芥川竜之介
《しゅんすけ》はこう云いながら、小さな金時計を出して見た。すると大井《おおい》は
内懐《うちぶところ》から手を出して剃痕《そりあと》の青い顋《あご》を撫《な》で廻....
「星座」より 著者:有島武郎
けたら新聞の寄書としても十分役立つに違いないとも思いめぐらしていた。左手を深々と
内懐から帯の下にさし入れて、右手の爪をぶつりぶつりと囓《か》み切りながら。
....
「義血侠血」より 著者:泉鏡花
に遭《あ》えり。たちまち暴《あら》くれたる四隻《よつ》の手は、乱雑に渠の帯の間と
内懐とを撈《かきさが》せり。 「あれえ!」と叫びて援《すく》いを求めたりしは、こ....
「演技指導論草案」より 著者:伊丹万作
望みに任せてむやみに物を持たせてはいけない。芝居が下品になる。 ○俳優は常に手を
内懐かポケットの中へ隠したがる。ある俳優のごときは娘の結婚式の来客を迎える紳士の....
「深夜の市長」より 著者:海野十三
また吾輩の特性でもあった。 「僕ですかア。……僕はこういう者で……」 と、悠々
内懐のチョッキのポケットへ手を入れて、そこに入れてあった名刺をとりだした。 「…....
「空襲葬送曲」より 著者:海野十三
れから男爵は、急いで、入口のカーテンを引いた。次に彼は、驚くべき敏捷さでもって、
内懐から、黄色い手袋を出して嵌め、そしてどこに隠してあったのか、マスクをひょいと....
「柿色の紙風船」より 著者:海野十三
来た。呼びとめて、車を浅草へ走らせる。円タクに乗るのも、あれ以来だった。私は手を
内懐へ入れて、状袋の中から五十銭玉を裸のまま取り出した。 「旦那、浅草はどこです....
「地球盗難」より 著者:海野十三
をしても大丈夫だと悟ったらしい。そこで彼は、拳銃をポケットに収いかけた。彼の手が
内懐のポケットの中に消えたので、いよいよ収ったなと感じた途端、ゴトーンと大きな音....
「かんかん虫」より 著者:有島武郎
て生れて来やがって、不足の云い様は無い筈なのに、物好きにも事を欠いて、虫手合いの
内懐まで手を入れやがる。何が面白くって今日今日を暮して居るんだ。虫って云われて居....
「流線間諜」より 著者:海野十三
拳銃をとりなおそうとする一刹那、 「エイッ、――」 と叫んで帆村はムズと相手の
内懐に組みついた。 「うぬ、日本人め!」 と「右足のない梟」は叫んで、大力を利....
「歌行灯」より 著者:泉鏡花
紫の襟を噛むように――ふっくりしたのが、あわれに窶れた――頤深く、恥かしそうに、
内懐を覗いたが、膚身に着けたと思わるる、……胸やや白き衣紋を透かして、濃い紫の細....
「南地心中」より 著者:泉鏡花
憂慮なやろさかい、私がこうするよって、大事ないえ。」 と袖の中にて手を引けば、
内懐の乳のあたり、浪打つように膨らみたり。 「婦の急所で圧えておく。……乳|銜え....
「露肆」より 著者:泉鏡花
然としたらしいその途端に、吹矢筒を密と置いて、ただそれだけ使う、右の手を、すっと
内懐へ入れると、繻子の帯がきりりと動いた。そのまま、茄子の挫げたような、褪せたが....
「黒百合」より 著者:泉鏡花
く、右の指の節を唇に当て、素肌に着た絹セルの単衣の衣紋を緩げ――弥蔵という奴――
内懐に落した手に、何か持って一心に瞻めながら、悠々と歩を移す。小間使が言った千破....
「ピストルの使い方」より 著者:泉鏡花
熟と考えて、鏨を三本、細くって小さいんですとさ。鉄鎚を二|挺、大きな紙入の底へ、
内懐へしっかりと入れて、もやもや雲の蝋型には、鬱金の切を深く掛けた上、羽織の紐を....