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「円らか〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

円らかの前後の文節・文章を表示しています。該当する10件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
鍵から抜け出した女」より 著者:海野十三
あった。 「ようございますか――黙ってさせるのよ」 眼が見えなくなると、庵主の円らかな頭は見えず、声だけが聞えた。するとその声だけを聞いていると、庵主は実に若....
C先生への手紙」より 著者:宮本百合子
い黒色が仄明るい空を画ると、漸々その極度の暗黒を破って、生みたての卵黄のように、円らかにも美くしい月が現われるのでございます。真個に、つるりと一嚥にして仕舞い度....
無題(三)」より 著者:宮本百合子
ち足りた生存だとすると、数千哩互を隔てられた彼女自身の一人の存在は、まるで、その円らかな一つの肉体を、真中から、無残にも二つ切りにして、その生々しく濡れた切口を....
傾く日」より 著者:宮本百合子
ない扉に面して生活して行く可能が明かなのである。 私だけが、母上との間を又元の円らかさに返したとて、結局どうなるだろう。何も改善されない。又、元のいつでも争い....
無題」より 著者:宮本百合子
で仕舞うのである。 十人は十人、人間の真個な幸福を希望して居る。 万人は万人円らかな愛と、浄化された本然とを求めて居る。 けれども、其なら絶間ない努力と、....
娘煙術師」より 著者:国枝史郎
り立ったり頑丈に立ったり」――で、酔眼を憤らしくあけたが、その眼の前に躑躅の叢が円らかにコンモリと茂っていて、花がつばらかに咲き出していた。「上にあるものといえ....
地上」より 著者:島田清次郎
れていなかった。薄紅い血色が滑らかな豊かな肉付の表面に、美しく漂い現われている。円らかにふくらみ充ちた肉の上に日が美しく流れた。その肉は若い生命が溢れている美し....
日記」より 著者:宮本百合子
陶器の仕上げを見て居ると、芸術が共通に持つあらたかさをしみじみと感じさせられた。円らかな、てらいのない、晏如《あんじょ》とした心持……。其は総ての芸術を通して持....
魔味洗心」より 著者:佐藤垢石
えた肌、体側に、正しく十三個ならんだ紫ぼかしの小判形の斑点、頭のてっぺんにつけた円らかな眼、なんと山女魚は、華艶の服飾と、疎麗な姿の持ち主であろう。 利根川に....
」より 著者:上村松園
みの砧打つとかや、衣に落つる松の声/\、夜寒を風やしらすらん」 秋酣の、折しも円らかなる月のさし出づるころで都にある夫を想いながら空の一角を仰いで月を見、これ....