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円座
「円座〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
円座の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「道祖問答」より 著者:芥川竜之介
み》の啼く声さえも聞えない。
阿闍梨《あざり》は、白地の錦の縁《ふち》をとった
円座《わらふだ》の上に座をしめながら、式部の眼のさめるのを憚《はばか》るように、....
「俊寛」より 著者:芥川竜之介
の御形見《おかたみ》だとか、伺ったように思っています。
俊寛《しゅんかん》様は
円座《わろうだ》の上に、楽々と御坐りなすったまま、いろいろ御馳走《ごちそう》を下....
「玉藻の前」より 著者:岡本綺堂
えい」と、忠通はあごで招いた。 清治は心得て、藻を縁にのぼらせた。そうして藁の
円座を敷かせようとしたが、藻は辞退して板縁の上に行儀よくかしこまった。 「予は忠....
「半七捕物帳」より 著者:岡本綺堂
野菜や菓子折や紅白の餅なども其処らにうず高く積まれてあった。若い美しい行者は藁の
円座のようなものの上に坐って、手には幣束をささげていた。少し下がったところに、そ....
「神州纐纈城」より 著者:国枝史郎
尚他に諸角豊後、穴山梅雪、武田逍遥軒、板垣駿河、長坂|釣閑、真田弾正同じく昌幸、
円座を作って居流れた様は、堂々として由々しかった。 名に負う永禄元年と云えば、....
「貝の穴に河童の居る事」より 著者:泉鏡花
白い浪の打ちかえす磯端を、八|葉の蓮華に気取り、背後の屏風巌を、舟後光に真似て、
円座して……翁様、御存じでございましょ。あれは――近郷での、かくれ里。めった、人....
「鹿狩り」より 著者:国木田独歩
一枚を隔てて聞くその心地よさ。時々目を開けて見ると薄暗い舷燈のおぼろげな光の下に
円座を組んで叔父さんたちは愉快にやってござる。また中には酔ってしゃべりくたぶれて....
「血ぬられた懐刀」より 著者:国枝史郎
えてきた時には、秋安とお紅も感付いた。 素破! と云うような意気込みで、秋安は
円座から飛び上ったが、鹿角にかけてあった太刀を握むと、襖をひらいて外へ出た。出た....
「柳営秘録かつえ蔵」より 著者:国枝史郎
の中は暗かった。 燈火一つ点されていない。それこそ文字通りの闇であった。一枚の
円座と一脚の脇息、あるものと云えばそれだけであった。 お杉は
円座へ端座した。 ....
「次郎物語」より 著者:下村湖人
たちの顔を、そっと見まわした。すると、いつの間にはいって来たのか、部屋の入口の、
円座から少しさがったところに、奥さんがつつましく坐って、こちらを見ていた。その眼....
「沙漠の古都」より 著者:国枝史郎
十回となく繰り返した。 その時かすめた太鼓の音が――鈴の音のする手太鼓の音が、
円座を作った真ん中から、夢のように微妙に聞こえて来た。とそれへ銀笛の音が混った。....
「剣侠」より 著者:国枝史郎
そうに払って、お妻が庭へ入って来た。 「いい天気ね、弁三爺さん」 母屋の縁側に
円座を敷き、その上に坐って憂鬱の顔をし、膏薬を練っていた弁三爺さんは、そう云われ....
「壁の眼の怪」より 著者:江見水蔭
れた衣類を乾かすのであった。 座敷と云っても畳は敷いてなく、板張りの上に古風な
円座が並べられたに過ぎなかった。 「これはこれは好うぞ、お出で下された」 総髪....
「書記官」より 著者:川上眉山
、見るから清らなる東屋あり。山はにわかに開きて鏡のごとき荻の湖は眼の前に出でぬ。
円座を打ち敷きて、辰弥は病後の早くも疲れたる身を休めぬ。差し向いたる梅屋の一棟は....
「小坂部姫」より 著者:岡本綺堂
夕はいこう冷えまする。若殿の御機嫌はいかがでござりましょうか。」 あたえられた
円座を占めて、権右衛門は直垂の袖をかき合わせると、師冬は軽いしわぶきを一つした。....