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円熟
「円熟〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
円熟の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「二つの道」より 著者:有島武郎
を見いだされずに残っているといわねばならぬ。
その思想と伎倆《ぎりょう》の最も
円熟した時、後代に捧ぐべき代表的傑作として、ハムレットを捕えたシェクスピアは、人....
「「いき」の構造」より 著者:九鬼周造
また渋味は、自然界にあっては不熟の味である場合が多いが、精神界にあってはしばしば
円熟した趣味である。広義の擬古主義が蒼古的《そうこてき》様式の古拙性を尊ぶ理由も....
「青春の逆説」より 著者:織田作之助
声を出しているとしか思えぬ、しわがれた悩ましい声は、なにもかも知りつくしたような
円熟した女の底の深さを囁いて、佐古の好奇心を刺戟した。 だから、彼女を招聘する....
「支倉事件」より 著者:甲賀三郎
ず芝今里町の神戸牧師を訪ねたのだった。 神戸牧師と云うのは当時三十五、六、漸く
円熟境に這入ろうとする年配で、外国仕込の瀟洒たる宗教家だった。支倉の妻が日曜学校....
「万葉秀歌」より 著者:斎藤茂吉
同化せんことを努むべきである。作は人麿としては初期のものらしいが、既にかくの如く
円熟して居る。 ○ ささなみの志賀の大曲よどむとも昔の人に....
「青春論」より 著者:坂口安吾
し、剣の用法も次第に形式主義に走って、本来殺伐、あくまで必殺の剣が、何か悟道的な
円熟を目的とするかのような変化を見せたのであろうと思われる。蓋し剣本来の必殺第一....
「お奈良さま」より 著者:坂口安吾
めてお経を読むわけにいかないので、自然あきらめるようになった。ちかごろでは心境も
円熟したから、泣きの涙の人々を慰めてあげるような意味において心おきなくオナラをた....
「安吾の新日本地理」より 著者:坂口安吾
ません。その心境にも曇りなくムダな饒舌がなく、そして、その心境と同じように技術が
円熟して、まことにどこにもチリをとめないというのがヒダの名人の作です。それが国分....
「四月馬鹿」より 著者:織田作之助
く」という淡々とした書出しの方がむずかしいのだ。 私は武田さんの小説家としての
円熟を感じた。武田さんもこのような書出しを使うようになったかと、思った。しかし、....
「ファラデーの伝」より 著者:愛知敬一
ありとに何にか関係があるという予想は、ファラデーが五年間休養している間に、段々と
円熟して来た。 ファラデーは健康が回復すると、一八四五年から電磁気と光との関係....
「高原の太陽」より 著者:岡本かの子
いの堤に恰も黄金の滝のように咲き枝垂れている八重山吹の花むらであった。陽は午後の
円熟した光を一雫のおしみもなく、その旺溢した黄金色の全幅にそそぎかけている。青年....
「豆腐買い」より 著者:岡本かの子
になった。お京さんの病気はまだすっかりなおって居ない。そして少し気の狂った病的な
円熟が中年の美女のいろ艶を一層凄艶にして居た。 「あなたに逢って何もかもうれしい....
「青春の息の痕」より 著者:倉田百三
しかし少しエクセントリックなところがありすぎるように思われます。これも年とともに
円熟することでしょう。まだ四十代ですから。 私は不思議な運命に押されて、ここま....
「良寛様の書」より 著者:北大路魯山人
かん気に充ちた人であるかと思われる筋の見えるものがある。それが修養によりにわかに
円熟に進まれたものであろうと思うのである。そのことはその墨跡の数点が物語るところ....
「中世の文学伝統」より 著者:風巻景次郎
いる頃尭孝・正徹ともに世を去り、その後応仁乱(六十七歳)の始まるまで十数年はその
円熟の時代である。門人に有名な連歌師|宗祇ができた。応仁二年将軍の近臣斎藤|妙椿....