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写し絵
「写し絵〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
写し絵の前後の文節・文章を表示しています。該当する13件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「道草」より 著者:夏目漱石
出した事もあった。 彼の望む玩具《おもちゃ》は無論彼の自由になった。その中には
写し絵の道具も交《まじ》っていた。彼はよく紙を継ぎ合わせた幕の上に、三番叟《さん....
「夢鬼」より 著者:蘭郁二郎
れば、由子の肉体は、黒吉にとって、「葉子の幻像」であったのだ。温たかい、現実的な
写し絵にすぎなかったのだ。 黒吉は、由子を勢一杯抱きながら、葉子の香に酔ってい....
「大菩薩峠」より 著者:中里介山
意気な芸人共はあの手段で行くがいいと唱え出す者もある。 いったい、芝居だとか、
写し絵だとかいうものを見せるのは、淳朴《じゅんぼく》なる気風を害するものだから、....
「大菩薩峠」より 著者:中里介山
刃《やいば》で死ねずに、水で死ぬ気になったのか、愚かなる命の二人よ、とお銀様は、
写し絵にうつるような湖面の一巻の終りを飽くまで見据えて、眉一つ動かそうともしませ....
「寄席と芝居と」より 著者:岡本綺堂
は色物席と講談席の二種に分かれていた。色物とは落語、人情話、手品、仮声、物真似、
写し絵、音曲のたぐいをあわせたもので、それを普通に「寄席」というのである。一方の....
「鱗粉」より 著者:蘭郁二郎
ても、蝶々なんか実に綺麗な、可愛いいもんじゃないですか、尤も掴めばそりゃ恰度あの
写し絵のように黄だの、黒だの縞が、手につきますけどね――』 『ああ、それが僕には....
「顎十郎捕物帳」より 著者:久生十蘭
『出世景清《しゅっせかげきよ》』『牡丹灯籠《ぼたんどうろう》』『四谷怪談』などの
写し絵をうつして見せる。 この『
写し絵』は、そのころ八王子を中心に、久しいあい....
「歌麿懺悔」より 著者:邦枝完二
く内から雨戸をあけたのであろう。ほのかに差した明りの前に、仲蔵に似た歌麿の顔が、
写し絵のように黄色く浮んだ。 「おや、何か御用ですかえ」 それは正しく、お近の....
「小説 円朝」より 著者:正岡容
にしてきて、 「噺の途中へお化けのでるときは私は都楽《とらく》や都船《とせん》の
写し絵をつかいたい、忍びの術使いのでるときには鈴川一座の日本|手品《てづま》や水....
「艶色落語講談鑑賞」より 著者:正岡容
ろう。 先年亡くなったあやつりの結城孫三郎は、同時に両川亭船遊を名のって、風流
写し絵の妙手。明治初年の夏の夜には両国橋畔に船を浮かべて、青簾《あおすだれ》のう....
「随筆 寄席風俗」より 著者:正岡容
づくし」のひと手を踊った。 それから、もう一度、どろどろで姿をかくして、今度は
写し絵の口上にあるような、大きなでこでこの福助になる。そして牡丹の花の開くように....
「小坂部伝説」より 著者:岡本綺堂
退治するというのが、最も世間に知られている伝説らしく、わたしは子供のときに寄席の
写し絵などで幾度も見せられたものである。こんなことを書いていながらも、一種今昔の....
「木綿以前の事」より 著者:柳田国男
も精確に、後世に伝え得た者も少ない。西鶴や其磧や近松の世話物などは、ともに世相の
写し絵として、くりかえし引用せられているが、言葉の多い割には題材の範囲が狭い。是....