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写る
「写る〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
写るの前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「器楽的幻覚」より 著者:梶井基次郎
ともない」感じなのであった。――燈火を赤く反映している夜空も、そのなかにときどき
写る青いスパークも。……しかしどこかからきこえて来た軽はずみな口笛がいまのソナタ....
「蒼穹」より 著者:梶井基次郎
それは途中にただ一軒の人家しかない、そしてその家の燈《ひ》がちょうど戸の節穴から
写る戸外の風景のように見えている、大きな闇のなかであった。街道へその家の燈《ひ》....
「幽霊塔」より 著者:黒岩涙香
た。巴里に行って果たして何の様な事になるか殆ど無我夢中である。
第七十回 鏡に
写る背影《うしろかげ》
ポール・レペル先生とは何の先生であろう。余は夫さえも....
「恐しき通夜」より 著者:海野十三
た。いつも三機|雁行の、その先登に立っていた司令機内のこの儂は、反射凸面鏡の中に
写る僚機の、殺気だった戦闘ぶりを、ちょいちょい眺めては、すくなからず心配になって....
「白妖」より 著者:大阪圭吉
閃光に照らされた途端に、後ろの窓を抜けて、前のこの硝子窓へ右曲りの標識となって、
写るんです。……クーペはルーム・ライトを消してたし、前の谷が空気は清澄で、ヘッド....
「母子叙情」より 著者:岡本かの子
………」 「沢山あった歌のなかで一つだけ覚えてて僕暗記してます――鏡のなかに童顔
写るこのわれがあはれ子を恋ふる母かと泣かゆ――ねえ、そうでしたね」 突然、かの....
「支倉事件」より 著者:甲賀三郎
た眼の調節が急に取れないで、それがボンヤリと説明のない映写の幕を見ている様に眼に
写るのだった。 石子はふと我に返って、あわてゝ軌道の方を見た。恰度一台の電車が....
「千鳥」より 著者:鈴木三重吉
写ります」と、まじめに写真やのつもりでいる。 「兄さんは炬燵へ当ってる方がうまく
写るよ」 「だって姉さんが邪魔をしてるんだもの」と風呂敷の中へ頭を入れる。 「姉....
「縷紅新草」より 著者:泉鏡花
染まって、また縢って、銀の糸がきらきらと、何枚か、幾つの蜻蛉が、すいすいと浮いて
写る。――(私が傍に見ていました)って、鼻ひしゃげのその頃の工女が、茄子の古漬の....
「かの女の朝」より 著者:岡本かの子
たい陰影の少ない東洋人の顔より、筋骨的な線のはっきりした西洋人の顔が多く効果的に
写る――ともかく日本の様式建築が、独逸の効果的写真帖の影や深味|迄を東洋人の感覚....
「塩原多助一代記」より 著者:三遊亭円朝
評さえ宜を。例の若林先生が。火鉢にあらぬ得意の速記に。演舌るが儘を書取られしが。
写るに速きは消炭も。三|舎を避る出来栄に、忽ち一部の册子となりぬ。抑この話説の初....
「死剣と生縄」より 著者:江見水蔭
た。 折柄の夕陽は横斜に小虎の半身を赤々と照らした。それが流れの鈍い水の面にも
写るので有った。上にも小虎、下にも小虎、一人が二人に割れて見えた。垢染みた浴衣の....
「ある恋の話」より 著者:菊池寛
るすし屋の娘をどれほど、羨しく思ったでしょう。しかも、私はこの維盛卿が、私の眼に
写る染之助の最後の姿だと思うと、更に懐しさが胸に一杯になるのでした。 ところが....
「暗黒星」より 著者:黒岩涙香
所が、それも初めのうちの事で、追々と、一週又一週を経るに連れ、それ以下の望遠鏡へ
写る事となり、終には、苟しくも天体を観測する人は皆これを認むるに至った。 しか....
「冷かされた桃割娘」より 著者:上村松園
夭折され、梅園さん、絵専の中井宗太郎教授の姉さんは今もなお御健在です。思えば瞼に
写る走馬燈は限りない絵草子を拡げます。 (昭和十一年)....