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写字
「写字〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
写字の前後の文節・文章を表示しています。該当する14件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「外套」より 著者:ゴーゴリニコライ
けでは言い足りない。それどころか、彼は勤務に熱愛をもっていたのである。彼にはこの
写字という仕事の中に、千変万化の、楽しい一種の世界が見えていたのである。彼の顔に....
「野分」より 著者:夏目漱石
《かえり》みれば罪である。未来を望めば病気である。現在は麺麭《パン》のためにする
写字である。 道也先生は高柳君の耳の傍《そば》へ口を持って来て云った。 「君は....
「宇宙の始まり」より 著者:アレニウススヴァンテ
隷の数が人民の大多数を占めていたのであるが、彼らの中の少数な学識ある奴僕たとえば
写字生のようなもの以外のものは精神文化の進歩を享受することを許されていなかった。....
「男女関係について」より 著者:大杉栄
も、しごく妙だろうと思われるので、もう少し君の手紙を拝借して行きたい。お蔭様で、
写字をして、だいぶ原稿が儲かる訳になるのだがね。 その後しばらくして、君の手紙....
「霊訓」より 著者:浅野和三郎
し、本書に収録された通信は、全部がイムペレエタアから出発し、そしてレクタアがその
写字生をつとめたものである。他の場合、殊に通信の後期五年間に於ては、一団の霊達が....
「盗まれた手紙」より 著者:佐々木直次郎
ル越しにデュパンに渡した。デュパンはそれを念入りに調べて紙入れにしまい、それから
写字台の引出しの錠をあけ、そこから一通の手紙を出して、総監にやった。総監は狂気せ....
「ジャン・クリストフ」より 著者:豊島与志雄
クリストフにたいしていだいていた。書く術《すべ》を知らないという非難が、それらの
写字生どもによって幾度となく彼に発せられた。彼らにとっては、文体というものは、食....
「家なき子」より 著者:楠山正雄
「バルブレンという人に会いたいのです。シャヴァノン村から来た人です」とわたしは
写字机に向かっていたきたならしいばあさんに向かって言った。かの女は、ひどいつんぼ....
「頸飾り」より 著者:辻潤
夫は夜になると商売人の帳簿の写しを内職にやった。その外一頁五銭程にしか当たらぬ
写字を夜の更けるまでやった。 このような生活がざっと十年程継続した。 十年の....
「金狼」より 著者:久生十蘭
っと店のなかへはいり、身体をまげて板土間の奥のほうをすかして見る。 足のとれた
写字机、石版画、セーブル焼の置時計、手風琴、金|鍍金《メッキ》の枝燭台、古甕……....
「キャラコさん」より 著者:久生十蘭
くので、一週間に二度ずつこの家の前を通る。 飾窓のなかには、脚《あし》のとれた
写字机《ビュウロオ》や、石版画の西洋の風景や、セエブル焼きの置時計、壊れた手風琴....
「三十年前の島田沼南」より 著者:内田魯庵
南が外遊してからは書生の雑用が閑になったからといって、殊にシゲシゲと遊びに来た。
写字をしたり口授を筆記したりして私の仕事の手伝いをしていた。面胞だらけの小汚ない....
「文明教育論」より 著者:福沢諭吉
のみにて、さらに物の役に立たず、教師の苦心は、わずかにこの活字引《いきじびき》と
写字器械とを製造するにとどまりて、世に無用の人物を増したるのみ。 もとより人心....
「美しい日本の歴史」より 著者:吉川英治
は当時の下級官吏である。官の各省から東大寺へ派遣された者たちだ。尨大な外来経典の
写字、校正、装幀、勘出人、などの各課にわかれて、長期な筆耕仕事に一生をつぶしてゆ....