写経[語句情報] »
写経
「写経〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
写経の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「雁の童子」より 著者:宮沢賢治
ざいましたそうですが、おちぶれて奥《おく》さまと二人、ご自分は昔《むかし》からの
写経《しゃきょう》をなさり、奥さまは機《はた》を織《お》って、しずかにくらしてい....
「死者の書」より 著者:折口信夫
まだ一部も蔵せられて居ぬものであった。 姫は、蔀戸近くに、時としては机を立てて、
写経をしていることもあった。夜も、侍女たちを寝静まらしてから、油火の下で、一心不....
「大菩薩峠」より 著者:中里介山
た。 十三 竜之助を尋ねあぐんだお銀様は、染井の化物屋敷に帰って、土蔵の二階で
写経を始めています。針の先で自分の左の指を刺して、そこから滲《にじ》み上る血汐を....
「大和路・信濃路」より 著者:堀辰雄
えられた「死者の書」という題名が、ここにも実にいきいきとしている。 主 毎日の
写経に疲れて、若い女主人公がだんだん幻想的になって来、ある夕方、日の沈んでゆく西....
「蔵の二階」より 著者:豊島与志雄
で、先ず手を洗ってきて、紫檀の机の前に端坐し、ゆっくり墨をすりはじめる。それから
写経用の唐紙の巻物をくり拡げる。写すのは、法華経の四要品とされている、方便、安楽....
「新西遊記」より 著者:久生十蘭
ルボ・セーはドーラギリの向側、十日ほどの行程の谷合に隠れた山間の霊場で、一切経の
写経はそこの精舎にあるのだが、ドーラギリは五月までは吹雪で通れず、六月の末からは....
「山越しの阿弥陀像の画因」より 著者:折口信夫
説明に役立てようと言う考えなどはちっともなかった。唯、この時代によく読誦せられ、
写経せられた簡易な経文であったと言うのと、一つは有名な遺物があるからである。とこ....
「痀女抄録」より 著者:矢田津世子
して、隣家の師匠宅を訪うた。 銀三が出っ歯をむき出しにして迎えて、師匠は只今お
写経でございますが、と言う。簾屏風ごしに、机を前に端然と坐していられる後ろ姿が見....
「東洋文化史における仏教の地位」より 著者:高楠順次郎
時には見ることが出来なかった。石山寺のは田舎写しの経本でありますが、とにかく天平
写経である。それと較べて見たら大体分るだろうというので大般若経だけ持って行きまし....
「法然行伝」より 著者:中里介山
御料紙《ごりょうし》をむかえらるる式がある。これも法然が申し行われる。同じき八日
写経の水を迎えられること、同十三日御経奉納の式がある。これ皆国家の大事と同じ様な....
「無月物語」より 著者:久生十蘭
白女《しらめ》という側女《にょうぼう》を相手に、蔀《しとみ》もあげずに、一日中、
写経ばかりしていた。 そういうわびしい明け暮れに、泰文の従弟の保平が十八になる....
「私本太平記」より 著者:吉川英治
うわさも同時に聞えていた。 黄門どのが、それまで日課として来た“法華経序品”の
写経を、さらに専念しだしたのは、それからで、たちまち五月末には全八巻を写しおえ、....
「私本太平記」より 著者:吉川英治
咲く 桜の里の さくら乙女子 正成は遠くにこれを聞いていた。奥の書院で法華経の
写経をしていたのである。――筆をおき、自分も胸のうちで、唱歌をまねているうちに、....
「賤民概説」より 著者:喜田貞吉
わしめたのであった。その追従の法師(聖)には、道に落ちた紙屑を拾って、漉き直して
写経の料紙を作る、縄切れを拾って、土に雑ぜて古堂の壁を修繕する、瓜の喰いさしを拾....
「美しい日本の歴史」より 著者:吉川英治
宝級がある。 正倉院御物の有名な「大大論」の人物画などそれである。きっと大昔の
写経生の悪戯書きか、即興のスケッチでもあることだろう。
写経料紙の端に、袍を着た※....