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「冠する〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

冠するの前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
近時政論考」より 著者:陸羯南
り。当時吾輩が国民論派〔あえて自らこの名称を取るにあらず、便宜のため仮りにこれを冠するのみ〕を唱道するや、浅識者、軽薄子の嘲りを憂えずして、むしろかの偏見者、固....
知と疑い」より 著者:寺田寅彦
してその二を兼ぬる人ははなはだまれである、これを具備した人にして始めて碩学の名を冠するに足らんか。(大正四年ごろ)....
残されたる江戸」より 著者:柴田流星
頃からか竹屋という船宿の屋号がその通り名となり、百五十年来の名所に二つの呼び名を冠するに至ったのだ。 花の向島に人の出盛る頃は更にも言わず、春夏秋冬四時客の絶....
愛と認識との出発」より 著者:倉田百三
満足とに併せ応うる豊富にして徹底せるものでなければならない。 西田氏がその著に冠するに『善の研究』の名をもってしたのはこの問題が思索の中心であり、根本であると....
高浜虚子著『鶏頭』序」より 著者:夏目漱石
ではない。又は虚子が空前の大才で在来西洋人の用を足して来た分類語では、其の作物に冠する資格がないと云う意味でもない。虚子の作物を読むにつけて、余は不図《ふと》こ....
思想としての文学」より 著者:戸坂潤
を受け取る。社会を遍歴しない安っぽいただの自己にとっては、モラルなどは沐猴にして冠するものだろう。モラルは客観的な歴史的社会を遍歴して自己に還るモーラリティーの....
獄中への手紙」より 著者:宮本百合子
課題を、全体として、あの範囲でみているのではないのですから、いかに何でも。文化に冠する固有名詞のこともその通りです。表現の正確さ。このことのうちにどれだけの内容....
秋の気魄」より 著者:豊島与志雄
い得ないであろう。活力のない紅葉なればこそ、秋にふさわしいものとなる。秋の山野を冠する赤や黄の色彩は、房々とした少年の金髪ではなくて、生活をしつくした初老の人の....
ジャン・クリストフ」より 著者:豊島与志雄
も不幸である。世間は名誉と幸福とをその上に積み重ぬるとも、それは死骸《しがい》に冠するものである。 クリストフは一|閃《せん》の光に打たれた時、一つの放電が....
ジャン・クリストフ」より 著者:豊島与志雄
る。しかしながら、激しい闘《たたか》いによってのみ得られる享楽であり、力の勝利を冠する月桂樹《げっけいじゅ》である。芸術とは、征服せられたる人生なのだ。人生の帝....
学生と先哲」より 著者:倉田百三
あり、それは彼において切り離せないものであった。彼及び彼の弟子たちは皆その法名に冠するに日の字をもってし、それはわれらの祖国の国号の「日本」の日であることが意識....
二都物語」より 著者:佐々木直次郎
リューシーとの表情の類似。 プロス嬢 「嬢」の原語の「ミス」は、未婚婦人の名に冠する敬称であって、このプロス女史は年齢がもうあまり若くはないのであるが、日本語....
学問の独立」より 著者:福沢諭吉
えども、その人の私《わたくし》に恵与するに非《あら》ざるはむろんにして、私の字に冠するに共同の字をもってすれば、もとより一個人の私すべからざるや明らかなり。 ....
西航日録」より 著者:井上円了
り。気候にわかに暖を加う。二十日早天、スペインの連山を見る。その高きものは、みな冠するに白雪をもってす。 今日も亦ヒマラヤを見る心地せり 一望わが国の山岳に接....
南半球五万哩」より 著者:井上円了
を認めざるは前夕のごとし。 二十六日、快晴。朝来、連山の奇骨をあらわし、残雪を冠するもの、前後左右に並立するを見る。終日、風むなしく波滑らかにして、湖中にある....