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冥々
「冥々〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
冥々の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「神神の微笑」より 著者:芥川竜之介
るいは家々の並んだ町にも、何か不思議な力が潜《ひそ》んで居ります。そうしてそれが
冥々《めいめい》の中《うち》に、私の使命を妨《さまた》げて居ります。さもなければ....
「保吉の手帳から」より 著者:芥川竜之介
一点のマッチの火は保吉のためにばかり擦《す》られたのではない。実に大浦の武士道を
冥々《めいめい》の裡《うち》に照覧《しょうらん》し給う神々のために擦られたのである。
(大正十二年四月)....
「薤露行」より 著者:夏目漱石
るはいうまでもない。元来なら記憶を新たにするため一応読み返すはずであるが、読むと
冥々のうちに真似《まね》がしたくなるからやめた。 一 夢 百、二百、....
「坑夫」より 著者:夏目漱石
くなって、無くなった暁には、また当途《あてど》もなく流れ出さなければならないと、
冥々《めいめい》のうちに自覚したからである。自分は屑《いさぎ》よく涙金《なみだき....
「写生文」より 著者:夏目漱石
のもこの理である。かの写生文を標榜《ひょうぼう》する人々といえども単にわが特色を
冥々裡《めいめいり》に識別すると云うまでで、明かに指摘したものは今日に至るまで見....
「創作家の態度」より 著者:夏目漱石
が見ても一様である。始めから相談して、こう見ようじゃありませんかと、規約の束縛を
冥々《めいめい》のうちに受けている。そこで人間の頭が複雑になればなるほど、観察さ....
「趣味の遺伝」より 著者:夏目漱石
刻意《こくい》に描写した悲劇である。読んで冒頭より門番の滑稽《こっけい》に至って
冥々《めいめい》の際読者の心に生ずる唯一の惰性は怖と云う一字に帰着してしまう。過....
「小説 不如帰 」より 著者:徳冨蘆花
とも一たび絶えし縁は再びつなぐ時なかるべきを感ぜざるにあらざるも、なお二人が心は
冥々の間に通いて、この愛をば何人もつんざくあたわじと心に謂いて、ひそかに自ら慰め....
「縷紅新草」より 著者:泉鏡花
の、仄白い寂しい亡霊の道が、草がくれ木の葉がくれに、暗夜には著く、月には幽けく、
冥々として顕われる。中でも裏山の峰に近い、この寺の墓場の丘の頂に、一樹、榎の大木....
「悪獣篇」より 著者:泉鏡花
なら、あすこへでも。」 いかにも人は籠らぬらしい、物凄じき対岸の崖、炎を宿して
冥々たり。 「あんな、あんなその、地獄の火が燃えておりますような、あの中へ、」 ....
「関牧塲創業記事」より 著者:関寛
、思い出すに於ても粟起するを覚うる事あり。然れども今日迄無事に生活し居るは、実に
冥々裡に或る保護に頼るを感謝するのみ。 明治三十四年には、我等夫婦に結婚後五十年....
「夢は呼び交す」より 著者:蒲原有明
念願である。 鶴見はこれまで重荷にしていた痛苦がこの代衆生苦の御念願によって、
冥々のうちにあっていつの間にか救われているのだろうと思う。それをそうと信ぜさせら....
「チェーホフの短篇に就いて」より 著者:神西清
な分析が、この文章の冒頭に述べた「聖チェーホフの雰囲気」を時として押しひらいて、
冥々のうちに作家チェーホフを支え導いていた端倪すべからざる芸術的|叡知の存在を明....
「フレップ・トリップ」より 著者:北原白秋
し、潜航し、 跳躍し、 跳躍し、 跳躍し、跳躍し、跳躍し、 ああ、燦爛、
冥々、燦爛、陰々たるオホーツク海一面の反射と影、影、影。 飛沫、 飛沫をあげ....
「それから」より 著者:夏目漱石
って加え得ようとは思わなかった。実は金の工面を思い立ってから、自分でもこの弱点を
冥々《めいめい》の裡《うち》に感じていたのである。 「全く車屋ですね。だから姉さ....