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「冥途〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

冥途の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
絵本の春」より 著者:泉鏡花
ある。且つ寺子屋仕込みで、本が読める。五経、文選すらすらで、書がまた好い。一度|冥途を※ってからは、仏教に親んで参禅もしたと聞く。――小母さんは寺子屋時代から、....
怪塔王」より 著者:海野十三
「なにもわしが喋ったとて、そう驚くことはないじゃないか、これはせめて貴様たちの冥途のみやげにと思って、聞かせてやったばかりよ」 「えっ、冥途のみやげにとは――....
古狢」より 著者:泉鏡花
、承服しにくい。 それを、しかも松の枝に引掛けて、――名古屋の客が待っていた。冥途の首途を導くようじゃありませんか、五月闇に、その白提灯を、ぼっと松林の中に、....
草迷宮」より 著者:泉鏡花
……その仔細を尋ぬれば、心がらとは言いながら、去る年、一|膳飯屋でぐでんになり、冥途の宵を照らしますじゃ、と碌でもない秀句を吐いて、井桁の中に横|木瓜、田舎の暗....
陽炎座」より 著者:泉鏡花
のごとく棒を突出す。 饂飩屋は、あッと尻餅。 引被せて、青月代が、 「ともに冥途へ連行かん。」 「来れや、来れ。」と差配は異変な声繕。 一堪りもなく、饂飩....
悪獣篇」より 著者:泉鏡花
った。 時に、障子を開けて、そこが何になってしまったか、浜か、山か、一里塚か、冥途の路か。船虫が飛ぼうも、大きな油虫が駈け出そうも料られない。廊下へ出るのは気....
黒百合」より 著者:泉鏡花
気なものさね、」と澄まし切って、島野は会心の微笑を浮べた。 「さあ、行こう、何も冥途へ連れて行くんじゃあないよ。謂わばまあ殿様のお手が着くといったようなものさ。....
霊界通信 小桜姫物語」より 著者:浅野和三郎
寝ているが、一たいここは何んな所かしら……。私が死んだものとすれば、ここは矢張り冥途とやらに相違ないであろうが、しかし私は三|途の川らしいものを渡った覚えはない....
怨霊借用」より 著者:泉鏡花
いうだけの事でありましょうで、以来そこを、提灯ヶ淵――これは死にます時に、小一が冥途を照しますつもりか、持っておりましたので、それに、夕顔ヶ淵……またこれは、そ....
火星の芝居」より 著者:石川啄木
来たよ』 『面白いものでもあったか?』 『芝居を見たんだ』 『そうか。日本なら「冥途の飛脚」だが、火星じゃ「天上の飛脚」でも演るんだろう?』 『そんなケチなもん....
八犬伝談余」より 著者:内田魯庵
宝珠是れ長く埋没すべけん 夜々精光斗牛を射る 雛衣 満袖啼痕血痕に和す冥途敢て忘れん阿郎の恩を 宝刀を掣将つて非命を嗟す 霊珠を弾了して宿冤を報ず 幾....
河伯令嬢」より 著者:泉鏡花
毛ばら毛、髢も一所に、あたりは真暗になりました。 (連れてって下さい、お優さん、冥途へでもどこへでも。) (お帰りなさい――私が一所に参りますから。) その時....
卵塔場の天女」より 著者:泉鏡花
途まで奈落へ堕して、……といって、自殺をするほどの覚悟も出来ない卑怯ものだから、冥途へ捷径の焼場人足、死人焼になって、胆を鍛えよう。それからだ、その上で…… ―....
活人形」より 著者:泉鏡花
下枝をはたと蹴返せば、苦と仰様に僵れつつ呼吸も絶ゆげに唸きいたり。「やい、婦人、冥途の土産に聞かしてやる。汝の母親はな。顔も気質も汝に肖て、やっぱり我の言うこと....
私の履歴書」より 著者:井上貞治郎
杉といわせてもらおう。そしてこれからもこの一本杉は伸びなければならぬ。だからもし冥途から迎えにきたら、八十八を越してからいく。八十八を越してからまた使いがきたら....