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冬ざれ
「冬ざれ〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
冬ざれの前後の文節・文章を表示しています。該当する9件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「冬の蠅」より 著者:梶井基次郎
ていると、私の胸へはいつも廓寥《かくりょう》とした深夜の気配が沁《し》みて来た。
冬ざれた溪間の旅館は私のほかに宿泊人のない夜がある。そんな部屋はみな電燈が消され....
「旗本退屈男」より 著者:佐々木味津三
きもせず慌てもせず漕ぎ寄せて来る気勢でした。――場所は大川筋もずっと繁華の両国、
冬ざれの師走近い川風が、冷たく吹き渡っている宵五ツ頃のことです。 船はすべてで....
「雪之丞変化」より 著者:三上於菟吉
なく大破した、泰仁寺《たいにんじ》という寺があるのを思い出したからだ。彼は去年の
冬ざれ、例の野見《のみ》と洒落《しゃれ》たときに、その寺の境内で、休んだことを思....
「神秘昆虫館」より 著者:国枝史郎
、何故この俺を行かせないのだろう?」 立ち止まって四辺《あたり》を見廻わした。
冬ざれた半農半漁の村が、一筋寂しく横仆《よこた》わっている。それを越すと耕地であ....
「郷愁の詩人 与謝蕪村」より 著者:萩原朔太郎
相を考えさせ、山中の一孤村《いちこそん》と対照して、一層侘しさの影を深めている。
冬ざれや北の家陰《やかげ》の韮《にら》を刈る 薄ら日和《びより》の冬の日に、家....
「炎の人――ゴッホ小伝――」より 著者:三好十郎
チンと整理してある。その対照が一目でハッキリわかる。二つの窓から日暮れ前の広場の
冬ざれた樹立が見える。――ゴーガンが、テーブルの下手の椅子にダラリとかけて、三角....
「私本太平記」より 著者:吉川英治
つか旅路に出ていたのか」 開いてみる。 ……須磨、明石も塩屋のけむりのみにて、
冬ざれ、うら淋しうは候へど、汀々、千鳥の賑はひをかしくて、うかうか、都の師走も忘....
「私本太平記」より 著者:吉川英治
それも、そっとの催しで、微行の吉田大納言は、次の日、さっそく、京へ帰って行った。
冬ざれが来た。 こがらし、冬の海鳴り。それさえ長くて、高時はたまらなく嫌いなの....
「私本太平記」より 著者:吉川英治
かまわん」 やがて訴人の一武士が宮御所へ移されてきたのはもう夕がただった。暗い
冬ざれの庭に大かがりがドカドカ焚かれ、宮は、寒烈もいとわず床几へかかる。そして直....