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冬服
「冬服〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
冬服の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「恐怖城」より 著者:佐左木俊郎
いた。 「眩《まぶ》しいわ」 紀久子は馬車の上に薄紫色のパラソルを開いた。 「
冬服じゃ暑かったかしら?」 「夜になると寒いんですもの」 「暑いのはもう日中だけ....
「青春の逆説」より 著者:織田作之助
、必ず洋服を着変えて出社し、「おかげをもちまして質受け出来ました」と真夏にわざと
冬服である。そして、そういった尻から同僚に金を借りている。 「月給があがったんだ....
「こころ」より 著者:夏目漱石
しい。それでも私は予定通り及第した。卒業式の日、私は黴臭《かびくさ》くなった古い
冬服を行李《こうり》の中から出して着た。式場にならぶと、どれもこれもみな暑そうな....
「野分」より 著者:夏目漱石
書いて見せるがな」 「じゃ、どうしても妙花園は不賛成かね」 「遅くなるもの。君は
冬服を着ているが、僕はいまだに夏服だから帰りに寒くなって風でも引くといけない」 ....
「三十年後の東京」より 著者:海野十三
わけです」 「それはいいですね。衣料費がかからなくていいですね。昔は夏服、合服、
冬服なんどと、いく組も持っていなければならなかったですからね。ちょうど布ぎれのな....
「三十年後の世界」より 著者:海野十三
でいいわけです」 「それはいいですね。衣料費がかからなくていいですね。昔は夏服、
冬服なんどと、いく組も持っていなければならなかったですからね。ちょうど布ぎれのな....
「楢重雑筆」より 著者:小出楢重
した体躯をばこの機械の上へ運んだ、そして一銭を投げ込んで驚いた、私は帽子を冠って
冬服を着て靴を履いて、手に風呂敷包を持って、肩には絵具箱をかついで、しかして何ん....
「雪の夜」より 著者:小林多喜二
は汽車の時間をきめ、停車場で待つことにして帰った。土曜日彼はさしあたり必要のない
冬服を質屋に持ってゆき、本を売った。それで金の方は間に合った。次の日停車場へ行っ....
「夏」より 著者:寺田寅彦
った例がある。高等学校時代のある冬休みに大牟田炭坑を見学に行った時のことである。
冬服にメリヤスを重ね着した地上からの訪問者には、地下増温率によって規定された坑内....
「台湾の姿態」より 著者:豊島与志雄
於て対蹠的であるが、その変化目の――例えば四月頃の気候は、病的というの外はない。
冬服の気温から単衣一枚の気温に至る間を、幾度も往復する。日によって変るし、一日の....
「無人島に生きる十六人」より 著者:須川邦彦
陸だ。用意をしろ。持ち出す物をわすれるな。みんな、できるだけたくさんに服を着ろ。
冬服も夏服も着ろ。くつ下をはいて、くつをはけ。帽子をかぶって、その上から、手拭や....
「城」より 著者:カフカフランツ
身なりをしており、衣服はきっと絹でつくったものではなく、ほかの連中のと同じように
冬服だが、まるで絹の服のようなしなやかさとはなやかさとをもっていた。男の顔は明る....
「南半球五万哩」より 著者:井上円了
を定む。メルボルンの気候はシドニーよりいくぶんか冷気の加わりたるがごときも、朝夕
冬服、昼間夏服の気候にして、わが十月はじめごろに似たり。この地冬期といえども、ほ....
「金山揷話」より 著者:大鹿卓
ってきた東京は未だ晩秋で、街をゆく男達は誰も彼も合服姿だった。私は出発間際に急に
冬服に着かえて來た。その
冬服冬外套も重苦しく感じないほど、私も北海道の寒さを昨日....
「私の履歴書」より 著者:井上貞治郎
日だった。上野公園では咲き誇る桜の下で、花見客がうかれる陽春を、私はうすぎたない
冬服姿で、もらった十銭玉が汗をかくほどにぎりしめ、赤げっとを小わきに抱いて、とぼ....