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冬枯れ
「冬枯れ〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
冬枯れの前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「冬」より 著者:芥川竜之介
確かだった。
二月に近い往来は売出しの旗などの残っていたものの、どこの町全体も
冬枯れていた。僕は坂を登りながら、僕自身も肉体的にしみじみ疲れていることを感じた....
「日光小品」より 著者:芥川竜之介
たような気を起させる。
対岸の山は半ばは同じ紅葉につつまれて、その上はさすがに
冬枯れた草山だが、そのゆったりした肩には紅《あか》い光のある靄《もや》がかかって....
「或る女」より 著者:有島武郎
さんうれしいわねえ」
貞世は勝ち誇るもののごとく、縁側の柱によりかかってじっと
冬枯れの庭を見つめている姉の肩に手をかけながらより添った。愛子は一所《ひとところ....
「半七捕物帳」より 著者:岡本綺堂
ちゆき》の二人連れ、さしずめ清元か常磐津の出語りで『落人《おちうど》の為かや今は
冬枯れて』とか云いそうな場面です。誰の考えも同じことで、この榛の木を目当てに『辿....
「箕輪心中」より 著者:岡本綺堂
くるわ》の唄や鼓《つづみ》のしらべが手に取るようにここまで歓楽のひびきを送って、
冬枯れのままに沈んでいるこの村の空気を浮き立たせることもあるが、ことし十八とはい....
「恐怖城」より 著者:佐左木俊郎
第八章 1 空は朝から群青に染めて晴れ渡っていた。風もなく、
冬枯れの牧場には空気がうらうらと陽炎《かげろう》めいていた。紀久子と敬二郎とは馬....
「義民甚兵衛」より 著者:菊池寛
場。小石の多い川原に竹矢来が作られている。かなたに水の枯れた川原がつづき、背景に
冬枯れた山が見える。木枯が川原を伝うて吹いてくる。幕開けば、初めは矢来の外側を見....
「獄中消息」より 著者:大杉栄
ほかに何にもない監獄の庭に突立っているさまは、ずいぶんさびしい景色だ。しかしこの
冬枯れのさびしい景色が僕等の胸には妙に暖かい感じを抱かせた。棒っ切れがそろそろ芽....
「万葉秀歌」より 著者:斎藤茂吉
来の心を詠んでいる。百済野は大和北葛城郡|百済村附近の原野である。「萩の古枝」は
冬枯れた萩の枝で、相当の高さと繁みになったものであろう。「春待つと居りし」あたり....
「恒藤恭氏」より 著者:芥川竜之介
傍らに半日本を読みし事も少からず。恒藤の描きし水彩画中、最も僕の記憶にあるものは
冬枯れの躑躅を写せるものなり。但し記憶にある所以は不幸にも画の妙にあらず。躑躅だ....
「香熊」より 著者:佐藤垢石
、鬼の押し出しの方から流れる濁り川と呼ぶ渓流へ足を入れた。 渓流は、その頃まだ
冬枯れのままの叢林に掩われている。案内人と二人は、ある場所で渓流を徒渉して対岸へ....
「食べもの」より 著者:佐藤垢石
りにでかけるのは、無理ないと思う。 昨年の暮れから、今年の一、二月頃へかけての
冬枯れには東京の配給もまことに乏しいものであった。家族四人に対し、四、五日目に大....
「式部小路」より 著者:泉鏡花
ね。こりゃ何ですって、佃島の弁天様の鳥居前に一人で葦簀張を出しているんですって。
冬枯れの寒さ中毒で、茶釜の下に島の朝煙の立たない時があっても、まるで寄ッつかず、....
「いろいろな花」より 著者:小川未明
端に雪が白くかかっていました。春といっても、ほんの名ばかりであって、どこを見ても
冬枯れのままの景色でありました。 すみれは、小鳥があちらの林の中で、さびしそう....
「青い星の国へ」より 著者:小川未明
日の後でした。年子は、北へゆく汽車の中に、ただひとり窓に凭って移り変わってゆく、
冬枯れのさびしい景色に見とれている、自分を見いだしました。 東京を出るときには....