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冬物
「冬物〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
冬物の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「あらくれ」より 著者:徳田秋声
しあい》でか、当分植源にいっていることに決められたお島は、そこで台所に働いたり、
冬物の針仕事に坐ったりしていた。ぐれ出した鶴さんは、口喧《くちやかま》しい隠居の....
「両国の秋」より 著者:岡本綺堂
秋風が立っちゃあ遣り切れねえから、御用人を口説いて二歩借りて、これと一緒に羽織や
冬物を受けて来た」 「不二屋へ運ぶのが忙がしいから、身のまわりなんぞには手が届か....
「大島が出来る話」より 著者:菊池寛
姿に気が附いて、思わず苦笑する事も屡々《しばしば》あった。 その裡に秋が来て、
冬物を着るシーズンとなっても、大島の揃は、中々出来る様子は見えなかった。妻はよく....
「青春の逆説」より 著者:織田作之助
おまけに、既製品だと見えて、身に合わずぶくぶくなのだ。なお、仔細に見れば、洋服は
冬物ではないらしい。ネクタイだって、みじめなものだった。昨夜と同じ柄だが昨夜より....
「街頭から見た新東京の裏面」より 著者:杉山萠円
》で、いずれもあまり照り降りはないと云える。あるとすれば身から出た錆《さび》か、
冬物の質受け、もしくは病気等いう内側から湧いた照り降りである。下層や上層の社会の....
「縮図」より 著者:徳田秋声
た。 夏の移り替えになると、春よしのお神は、丸抱えの座敷着に帯、長襦袢といった
冬物を、篏め込みになっている三|棹ばかりの箪笥のけんどんから取りだし、電話で質屋....
「足迹」より 著者:徳田秋声
は、切ないような気がして、黙っていた。 母親は、押入れの葛籠のなかから、子供の
冬物を引っ張り出して見ていた。田舎から除けて持って来てた、丹念に始末をしておいた....
「黴」より 著者:徳田秋声
ないので、帰省して出て来ると、自分で尽頭の一軒を占めることにした。その日もお銀に
冬物を行李から出させて、日に干させなどしていた。そして母親が、その世話をすること....
「死までを語る」より 著者:直木三十五
「何うして」 「明日から十月でしょう」 「うん」 「この着物で――歩けないわ」
冬物が、値がいいので、ことごとく入質して、夏物のみである。この夏物と、
冬物は交換....
「壊滅の序曲」より 著者:原民喜
集団疎開地の先生から、父兄の面会日を通知して来た。三次の方へ訪ねて行くとなれば、
冬物一切を持って行ってやりたいし、疎開の荷造やら、学童へ持って行ってやる品の準備....
「大菩薩峠」より 著者:中里介山
精が出ますねえ」 「いいえ」 「何を縫っていらっしゃるの」 「何でもありません、
冬物の仕度を少しばかり……」 「そうですか、お手廻しがようございますねえ」 「急....
「原爆詩集」より 著者:峠三吉
かみに雪をかずいて眠る 雪の刃は遠くから生活の眉間に光をあてる 妻よ 今宵もまた
冬物のしたくを嘆くか 枯れた菊は 花瓶のプロムナードにまつわり 生れる子供を夢み....
「獄中への手紙」より 著者:宮本百合子
実記』 『神々は渇く』(不許) *『山谿に生くる人々』 『リカアドウ』 *『
冬物語』 Red star over China 不許 *『批評精神』 *『フ....
「銀三十枚」より 著者:国枝史郎
いいだろう」 おずおず眼をあけて車外を覗いた。 そこは賑かな広小路であった。
冬物が飾り窓に並べられてあった。それを覗いている女があった。寒そうに髱立っていた....
「人狼」より 著者:岡本綺堂
九月の声を聞くと秋風が身にしみて来る。どこかで砧を打つ声が聞えたり、この娘たちが
冬物を縫っているのを見たりすると、冬がもう眼の前へ押寄せて来たように思われますよ....