冬青[語句情報] » 冬青

「冬青〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

冬青の前後の文節・文章を表示しています。該当する9件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
年末の一日」より 著者:芥川竜之介
え見えなかった。僕はK君の先に立ったまま、右側の小みちへ曲って行った。小みちは要冬青《かなめもち》の生け垣や赤※《あかさび》のふいた鉄柵《てつさく》の中に大小の....
お律と子等と」より 著者:芥川竜之介
障子《ガラスしょうじ》の外《そと》に、狭い中庭を透《す》かせていた。中庭には太い冬青《もち》の樹が一本、手水鉢《ちょうずばち》に臨んでいるだけだった。麻の掻巻《....
少年」より 著者:芥川竜之介
じっと走らずにいる蟻でなければならぬ。そう云う蟻には石燈籠《いしどうろう》の下や冬青《もち》の木の根もとにも出合った覚えはない。しかし父はどう云う訣《わけ》か、....
神社合祀に関する意見」より 著者:南方熊楠
かり全山樹をもって蔽われ、まことに神威灼然たりしに、例の基本財産作るとて大部分の冬青《もちのき》林を伐り尽させ、神池にその木を浸して鳥黐《とりもち》を作らしむ。....
野菊の墓」より 著者:伊藤左千夫
。その先の松林の片隅に雑木の森があって数多《あまた》の墓が見える。戸村家の墓地は冬青《もちのき》四五本を中心として六坪許りを区別けしてある。そのほどよい所の新墓....
追憶」より 著者:芥川竜之介
壊し、それを薪にしたという人だった。 三 庭木 新しい僕の家の庭には冬青、榧、木斛、かくれみの、臘梅、八つ手、五葉の松などが植わっていた。僕はそれら....
隣の嫁」より 著者:伊藤左千夫
とえて言いようもない。あざやかに潤いがあるとでも言ったらよいか。藪から乗り出した冬青の木には赤い実が沢山なってる。渋味のある朱色でいや味のない古雅な色がなつかし....
夜明け前」より 著者:島崎藤村
ずみながめた神社の回廊の前には石燈籠の立つ斎庭がひらけ、よく行った神門のそばには冬青の赤い実をたれたのが目についたが、薄暗い過去はまだそんなところにも残って、彼....
地水火風空」より 著者:豊島与志雄
坊主姿のような石の碑だった。それが、地面から七八本の幹になってこんもりと茂ってる冬青樹の下影の、八手や躑躅の茂みの間に、ぼんやりつっ立っている。 「あの碑ですか....