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冱
「冱〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
冱の前後の文節・文章を表示しています。該当する8件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「石狩川」より 著者:本庄陸男
ず、だからどうにかしなければならぬと云う悶えも胸を去らなかった。はじめて知る長い
冱寒《ごかん》の雪に埋れてそれを考え、それを相談した。いまだに贖《あがな》われな....
「冗談に殺す」より 著者:夢野久作
思いで、生汗をかきかき正視しているうちに、私は、私の神経がみるみる恐ろしい方向に
冱えかえって行くのに気がついていた。 ……この女は有害無益な存在である。 …....
「十二支考」より 著者:南方熊楠
から出たのだ。 産地 ニューゼーランドハワイアゾールス等諸島や南北|
冱寒《ごかん》の地は蛇を産せぬ。ギリシア海に小島多く相近きに産するところの物有無....
「宝島」より 著者:佐々木直次郎
けた。しいんとした霜寒の空気の中に、私をぎょっとさせた音を聞いたからである。――
冱てついた街道をあの盲人の杖がこつ、こつ、こつと叩く音だ。私たちが息を殺して坐っ....
「光は影を」より 著者:岸田国士
う、泣いてもいゝと思つた。しかし、涙は喉につかえて、闇の樹立に注がれている眼は、
冱えかえるばかりであつた。 妹の遺書は、取乱したところがわりにないばかりでなく....
「駅夫日記」より 著者:白柳秀湖
ころのことであった。一夜霜が雪のように置き渡して、大地はさながら鉱石を踏むように
冱てた朝、例の土方がてんでに異様ないでたちをして、零点以下の空気に白い呼気を吹き....
「宮本武蔵」より 著者:吉川英治
足を引き摺って、伊勢の宮の裏山へ登った時――あの晩の星もきれいだったな。あれは、
冱寒の冬だったが、今ごろならば、氷花の樹々にも、もう山桜のつぼみが膨らんでいる時....
「三国志」より 著者:吉川英治
三十万を直ちに起して、陳倉道へ向って進発した。 この年、孔明四十八歳。――時は
冱寒の真冬、天下に聞ゆる陳倉道(※県の東北二十里)の嶮と、四山の峨々は、万丈の白....