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冴え返る
「冴え返る〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
冴え返るの前後の文節・文章を表示しています。該当する8件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「西郷隆盛」より 著者:芥川竜之介
しなくなった。女連れの客が立った後には、硝子の花瓶にさした菜《な》の花ばかりが、
冴え返る食堂車の中にかすかな匂を漂わせている。本間さんは白葡萄酒の杯を勢いよく飲....
「ドグラ・マグラ」より 著者:夢野久作
目切れ目に薬液のように苦々しく澄み渡っている青い青い空……そんなものの下に冴えに
冴え返る神経と、入り乱れて火花を散らす感情を包んだ頭の毛を、掻き※り、掻き乱しつ....
「一足お先に」より 著者:夢野久作
穿いているが、鼻眼鏡はかけていなかった。髪の毛をクシャクシャにしたまま、青白い、
冴え返るほどスゴイ表情をして、両手を高々と胸の上に組んで、私をジイと睨み付けてい....
「大菩薩峠」より 著者:中里介山
竜之助は、左の手を差置いた刀にかけて、室の中を見廻す。切れの長い目は颯《さっ》と
冴え返る。 お松は知らず知らず竜之助の膝に身を寄せていた。 「ハハハ」 竜之....
「丹下左膳」より 著者:林不忘
いで、忍びとはいえ、半ば公然なのんきな尾行。
もう四つ半をまわったろう。中央に
冴え返る月が、こころもち東へ傾いて、遠街を流す按摩の笛が細く尾を引いて消える。
....
「反抗」より 著者:豊島与志雄
処かへ行ってみようか。」 然し周平は、酒を飲めば呑気になるどころか、益々気分が
冴え返るのであった。平素は投げやりの気持になっていても、身体が酒に熱《ほて》って....
「名人地獄」より 著者:国枝史郎
まばらに耕地ひらけ、雪景色にはもってこいであった。その地上の雪に響いて、鼓の音は
冴え返るのであった。 「よく抜ける鼓だなあ」思わず平八は感嘆したが、「これは容易....
「つづれ烏羽玉」より 著者:林不忘
慄《せんりつ》を注ぎ込む。何やら得体の知れぬ力に押えつけられてただしいんと心耳に
冴え返るばかりだ。百万千万の視線が、眼に見えぬ槍ぶすまとなって、前後左右と上下に....