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「冷え〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

冷えの前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
初雪」より 著者:秋田滋
ように、この古色蒼然たる屋敷も、幾世紀かの年月を閲するうちに、いつしか、つめたく冷え切ってしまったように思われるのだった。彼女はとうとう堪りかねて、ある晩、良人....
久保田万太郎氏」より 著者:芥川竜之介
すと曇りそめけり星月夜」の句を示す。傘雨宗匠善と称す。数日の後、僕前句を改めて「冷えびえと曇り立ちけり星月夜」と為す。傘雨宗匠頭を振って曰、「いけません。」然れ....
玄鶴山房」より 著者:芥川竜之介
せずに坐っていた。玄鶴は、――玄鶴も時々は目を醒《さ》ましていた。が、湯たんぽが冷えたとか、湿布が乾いたとか云う以外に殆ど口を利いたことはなかった。こう云う「離....
日光小品」より 著者:芥川竜之介
は、菫色《すみれいろ》の光を帯びた野州の山々の姿が何か来るのを待っているように、冷え冷えする高原の大気を透《とお》してなごりなく望まれた。 いつだったかこんな....
歯車」より 著者:芥川竜之介
立ち上った。 「Le diable est mort」 凝灰岩の窓の外はいつか冷えびえと明けかかっていた。僕は丁度戸の前に佇み、誰もいない部屋の中を眺めまわし....
」より 著者:芥川竜之介
んがねえ。……」 「何だい、病気は?」 「やっぱり風邪《かぜ》ですって。始めは寝冷えぐらいの事と思い居り候ところ、――ですって。」 敏子はやや興奮したように、....
羅生門」より 著者:芥川竜之介
下人は、大きな嚔《くさめ》をして、それから、大儀《たいぎ》そうに立上った。夕冷えのする京都は、もう火桶《ひおけ》が欲しいほどの寒さである。風は門の柱と柱との....
霊界通信 小桜姫物語」より 著者:浅野和三郎
界では、どんな山坂を登り降りしても格別疲労は感じませぬが、しかし何やらシーンと底冷えのする空気に、私は覚えず総毛立って、躯がすくむように感じました。 『お爺さま....
或る女」より 著者:有島武郎
して、二人はむつまじくそこに移り住む事になった。葉子の恋はしかしながらそろそろと冷え始めるのに二週間以上を要しなかった。彼女は競争すべからぬ関係の競争者に対して....
或る女」より 著者:有島武郎
時にわき立った。平穏な、その代わり死んだも同然な一生がなんだ。純粋な、その代わり冷えもせず熱しもしない愛情がなんだ。生きる以上は生きてるらしく生きないでどうしよ....
生まれいずる悩み」より 著者:有島武郎
にしても明け方のこの暖かい光の色に比べて、なんという寒い空の風だ。長い夜のために冷え切った地球は、今そのいちばん冷たい呼吸を呼吸しているのだ。 私は君を忘れて....
親子」より 著者:有島武郎
たらしい小作人たちが挨拶を残して思い思いに帰ってゆく気配が事務所の方でしていた。冷え切った山の中の秋の夜の静まり返った空気の中を、その人たちの跫音がだんだん遠ざ....
クララの出家」より 著者:有島武郎
。軽く開いた唇は熱い息気のためにかさかさに乾いた。油汗の沁み出た両手は氷のように冷えて、青年を押もどそうにも、迎え抱こうにも、力を失って垂れ下った。肉体はややと....
星座」より 著者:有島武郎
った。清逸は綿の重い掛蒲団を頸の所にたくし上げて、軽い咳《せき》を二つ三つした。冷えきった空気が障子の所で少し暖まるのだろう、かの一匹の蝿はそこで静かに動いてい....
世界怪談名作集」より 著者:アンドレーエフレオニード・ニコラーエヴィチ
太陽を消し、足もとから大地を奪って、頭の上からは天空を消してしまった。これほどに冷え切って、心を痛くさせるものが又とあるであろうか。 「もっと見ろ。もっと見ろ、....