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冷かす
「冷かす〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
冷かすの前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「三つの窓」より 著者:芥川竜之介
手紙を持ったまま、だんだん軽蔑の色を浮べ出した。それから無愛想にA中尉の顔を見、
冷かすように話しかけた。 「善根を積んだと云う気がするだろう?」 「ふん、多少し....
「耽溺」より 著者:岩野泡鳴
、尋常な芸者に出来あがっている。 「けさほどは失礼致しました」と、しとやかながら
冷かすように手をついた。 「僕こそお礼を言いに来たのかも知れません」 「かも知れ....
「武装せる市街」より 著者:黒島伝治
ないかね?」いざという場合には、自分の方が、一枚うわ手だと確信している陳長財は、
冷かすように囁いた。「馬鹿! いらんことを喋っちゃいかん!」 山崎は真面目に叱....
「艸木虫魚」より 著者:薄田泣菫
うな気持がした。誰だったか知らないが自分の耳近くにやって来て、 「うふ……」 と
冷かすように吹き出したらしい気配を政宗は感じた。 逆上せ易いこの茶人はかっとな....
「縷紅新草」より 著者:泉鏡花
……ずっと離れているといいんだがな。近いと、どうも、この年でも極りが悪い。きっと
冷かすぜ、石塔の下から、クックッ、カラカラとまず笑う。」 「こわい、おじさん。お....
「犬」より 著者:アンドレーエフレオニード・ニコラーエヴィチ
皆がクサカに馴れた。何時か飼犬のように思って、その人馴れぬ処、物を怖れる処などを
冷かすような風になった。そこで一日一日と人間とクサカとを隔てる間が狭くなった。ク....
「別れたる妻に送る手紙」より 著者:近松秋江
。そうして鏡を見ては頭髪を梳いているでしょう。」婆さんは、若い者と違って、別段に
冷かすなどという風もなく、そういうことにも言い馴れた、という風に、初めから終まで....
「砂糖泥棒」より 著者:黒島伝治
ちゃ、困るんじゃがのう。」彼は悄げて哀願的になった。 「早や三人目かい。」杜氏は
冷かすような口調だった。 「はア。」 「いつ出来たんだ?」 「今日で丁度、ヒイが....
「銅銭会事変」より 著者:国枝史郎
ますよ」 「いやいや偉いのはお前の方だ」 「叔父さん冷かしちゃあいけません」 「
冷かすものか、本当のことだ。遊びもそこまで行かなければ、堂に入ったとはいわれない....
「娘煙術師」より 著者:国枝史郎
。
なぜそのように山県紋也は、しおらしいお粂の言葉に対して、まるでお粂を
冷かすかのような返辞と笑い声とを立てたのであろうか?
紋也はお粂を嫌っているの....
「駅夫日記」より 著者:白柳秀湖
目黒にいて時々停車場へ遊びに来るようだとなおいいだろう」と柳瀬という新しい駅夫が
冷かすと、岡田が後へついて「柳瀬なんぞは知るまいがこれには深い原因があるのだね、....
「隠亡堀」より 著者:国枝史郎
だ」 「で、只今はお梅さんと、仲|宜くおくらしでござんすかえ?」 直助は古風に
冷かすように訊いた。 「何さ、お梅も喜兵衛|奴も、婚礼の晩に叩っ切って了った」 ....
「夜光虫」より 著者:織田作之助
お加代もはじめて微笑して、 「亀公にしてはめずらしい大金ね。拾ったの?」 と、
冷かすと、亀吉はふっと唇をとがらせて、 「何をぬかす。拾った金なら届けるわい」 ....
「ファウスト」より 著者:ゲーテヨハン・ヴォルフガング・フォン
たしもお前さん所の奉公人に交って顔を出しました。
御免なさいよ。ここいらの連中が
冷かすかも知れないが、
わたしには気取った言草は出来ない。
わざと気取って見たと....
「世間師」より 著者:小栗風葉
寝るまでいっさい世話するてえんだから、お前も安心してひき取んねえ。」とまた一人が
冷かす。 万年屋の顔色は変わった。ガタガタ体が顫える。何か言おうとするが口も利....