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冷し
「冷し〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
冷しの前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「婦系図」より 著者:泉鏡花
引取って、ぐいと開けた、気が入って膝を立てた、顔の色が厳しくなった。と見て胆を
冷したのは主税で、小芳は何の気も着かないから、晴々しい面色で、覗込んで、 「心当....
「吉原新話」より 著者:泉鏡花
夜風に当っているのなどは、まだ確な分で。突臥したんだの、俯向いたんだの、壁で頭を
冷してるのもあれば、煙管で額へ突支棒をして、畳へ※めったようなのもある。……夜汽....
「夜叉ヶ池」より 著者:泉鏡花
は言出しませんが、いかんとも腹が空いた。 百合 ほほ。(と打笑み)筧の下に、梨が
冷してござんす、上げましょう。(と夕顔の蔭に立廻る。) 学円 (がぶがぶと茶を呑....
「売色鴨南蛮」より 著者:泉鏡花
ッ堪らん。ははは。」 と込上げ揉立て、真赤になった、七|顛八|倒の息継に、つぎ
冷しの茶を取って、がぶりと遣ると、 「わッ。」と咽せて、灰吹を掴んだが間に合わず....
「唄立山心中一曲」より 著者:泉鏡花
に、ぶるぶると畳の震う処は天変に対し、謹んで、日蝕を拝むがごとく、少なからず肝を
冷しながら、 「旅はこれだから可いんです。何も話の種です。……話の種と言えばね、....
「第二菎蒻本」より 著者:泉鏡花
…けたたましく、可哀に、心悲しい、鳶にとらるると聞く果敢ない蝉の声に、俊吉は肝を
冷しつつ、※々と面を照らす狐火の御神燈に、幾たびか驚いて目を塞いだが、路も坂に沈....
「南地心中」より 著者:泉鏡花
儀が可いよ。それに、大人で、身の入った芝居ほど、運動場は寂しいもんです。 風は
冷し、呼吸ぬきかたがた、買った敷島をそこで吸附けて、喫かしながら、堅い薄縁の板の....
「灯明之巻」より 著者:泉鏡花
帰んなさい、水で冷すのですよ。 ――で、駆戻ると、さきの親類では吃驚して、頭を
冷して寝かしたんだがね。客が揃って、おやじ……私の父が来たので、御馳走の膳の並ん....
「化銀杏」より 著者:泉鏡花
と下りて来て、長火鉢の前に突立ち、 「ああ、喉が渇く。」 と呟きながら、湯呑に
冷したりし茶を見るより、無遠慮に手に取りて、 「頂戴。」 とばかりぐっと飲みぬ....
「黒百合」より 著者:泉鏡花
お頭が濡れておりますもの。」 「む、何ね、そうか、濡れてるか、そうだろう。医者が
冷してくれたから。」と、詰られて言開をする者のような弱い調子で、努めて平気を装っ....
「瓜の涙」より 著者:泉鏡花
月影をこぼして溢るるのを、広い水槽でうけて、その中に、真桑瓜、西瓜、桃、李の実を
冷して売る。…… 名代である。 二 畠一帯、真桑瓜が名産で、こ....
「三枚続」より 著者:泉鏡花
お夏は袂から手巾を出して、件の水に浸しながら、手を拭い、襟を拭い、胸を拭い、足を
冷して埃を洗って、颯とあとを絞出したが、懐にせんも袂にせんも、びっしょり濡れてい....
「式部小路」より 著者:泉鏡花
を蹴倒して、それから燃え出して、裾へうつる時分に、熱いから土間へころがって、腹を
冷していたんだそうで。巡査の姿が、ずッと出た時、はじめて我に返ったか、どさくさ紛....
「註文帳」より 著者:泉鏡花
ょりであった。 上口から躍込むと、あしのあとが、板の間の濡れたのを踏んで、肝を
冷しながら、明を目的に駆けつけると、洋燈は少し暗くしてあったが、お杉は端然坐った....
「卵塔場の天女」より 著者:泉鏡花
」 と涙も忘れて、胸も、空洞に、ぽかんとして、首を真直に据えながら潟の鮒の碗を
冷して、箸をきちんと、膝に手を置いた状は可哀である。こっちには、蟹の甲羅――あの....