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「冷す〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

冷すの前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
邪宗門」より 著者:芥川竜之介
上って、御折檻《ごせっかん》くらいは御加えになろうかと、私ども一同が胆《きも》を冷すほどでございましたが、それでも若殿様は晴々と、美しい歯を見せて御笑いになりな....
恋を恋する人」より 著者:国木田独歩
愉快に談じ酒も相当に利いて十一時に及ぶと、朝田、神崎は自室に引上げた、大友は頭を冷す積りで外に出た。月は中天に昇っている。恰度前年お正《しょう》と共に散歩した晩....
臨終まで」より 著者:梶井久
に故障が出来たのですから、一週間も氷で冷せばよくなりますとのことで、昼夜間断なく冷すことにしました。 其の頃は正午前眼を覚しました。寝かせた儘手水を使わせ、朝....
武装せる市街」より 著者:黒島伝治
彼は、誰れにすゝめられるともなく、マッチ工場の作業場に出入した。ドロドロの黄燐を冷す裸体の旋風器がまわっている。無頓着な工人は、旋風器の羽に、頭を斬られそうだ。....
灯明之巻」より 著者:泉鏡花
の露店に売っている……山葡萄の、黒いほどな紫の実を下すって――お帰んなさい、水で冷すのですよ。 ――で、駆戻ると、さきの親類では吃驚して、頭を冷して寝かしたん....
神鷺之巻」より 著者:泉鏡花
らしい。小指のさきほどの打身があった。淡いふすぼりが、媼の手が榊を清水にひたして冷すうちに、ブライツッケルの冷罨法にも合えるごとく、やや青く、薄紫にあせるととも....
星女郎」より 著者:泉鏡花
。それだと直きそこに綺麗なのが湧いていますけれども、こんな時節には蛇が来て身体を冷すと申しますから。……) この様子では飲料で吐血をしそうにも思われないから、....
血ぬられた懐刀」より 著者:国枝史郎
げしく争ったこと、とうとう聚楽第へ連れて来られて、眼を奪うような華やかさと、胆を冷すに足るような、荒淫な夜遊にぶつかったこと、秀次が自分を抱えたこと、それに対し....
娘煙術師」より 著者:国枝史郎
、歩いているということができる。が、二人へ接近して、その会話を聞いたならば、胆を冷すに相違ない。 「姐ご、あいつは関東方で」「そうかい、それじゃア引っこ抜いてや....
誤った鑑定」より 著者:小酒井不木
を作るつもりであったが、何思ったかそれを中止して再びその牛乳を鑵の中へあけ戻し、冷すために皿場へ置いた。 その夕方、病人は発熱して、頻りに渇を訴えたので、看護....
死の接吻」より 著者:小酒井不木
々は天空に横わる銀河にさえ一種の恐怖を感じ、さっと輝いてまた忽ち消える流星に胸を冷すのであった。なまぬるく静かに動く風の肌ざわりは、死に神の呼吸かと思われた。 ....
葛飾砂子」より 著者:泉鏡花
になると、二度三度、月の内に枕が上らない日があるようになった。 扱帯の下を氷で冷すばかりの容体を、新造が枕頭に取詰めて、このくらいなことで半日でも客を断るとい....
ピストルの使い方」より 著者:泉鏡花
を、ズッと軽く柔かに肩に極めて、そのうしろむき曲打にズドンと遣るんだ。いや、肝を冷す。(教えよう)――お嬢さんが、私にその通りに遣れ、と云うんだ。(少し離れて、....
チベット旅行記」より 著者:河口慧海
ず始めに麦を煎じます。その麦も黒い儘洗いもせずじきに水を入れてよく煮たのを広げて冷す。その冷す間に麦芽を入れてよくこれを攪き混ぜ、壺に入れて麹を寝かすような具合....
梟の眼」より 著者:大倉燁子
紙に包んで、取り敢えず人目に触れない箪笥の抽斗の奥に入れて、錠を下し、熱した頭を冷す積りでヴェランダに出た。夫に打ち開けて相談してみようか、しかしそれも心配だっ....