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冷たくなる
「冷たくなる〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
冷たくなるの前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「藪の中」より 著者:芥川竜之介
さ》い塊《かたまり》がおれの口へこみ上げて来る。が、苦しみは少しもない。ただ胸が
冷たくなると、一層あたりがしんとしてしまった。ああ、何と云う静かさだろう。この山....
「一房の葡萄」より 著者:有島武郎
面所の方に手を洗いに出かけて行くのが窓から見えました。僕は急に頭の中が氷のように
冷たくなるのを気味悪く思いながら、ふらふらとジムの卓《テイブル》の所に行って、半....
「恐怖の口笛」より 著者:海野十三
の微光にサラサラと笹の葉が鳴っている藪蔭である。青年はその背筋が氷のようにゾッと
冷たくなるのを感じた。 と、―― その刹那の出来ごとだった。 キ、キャーッ....
「惜別」より 著者:太宰治
はどうしてこうなのでしょう。あの人たちの気勢が上れば上るほど、僕の気持がだんだん
冷たくなるばかりなのです。あなたは、どうでしょうか。僕は小さい時から、他の人がみ....
「転機」より 著者:伊藤野枝
さらに物凄い夜が来るのだ。黄昏れてくるにつけて、黙って歩いているうち、心の底から
冷たくなるような、何ともいえない感じに誘われるので、道々私は精一杯の声で歌い出し....
「ジーキル博士とハイド氏の怪事件」より 著者:佐々木直次郎
ー・ジーキルが殺人犯のために偽手紙を書くなんて!」そう思うと、彼の血は血管の中で
冷たくなるような気がした。 ラニョン博士の変事 時が流れた。ダンヴァーズ卿の死....
「赤いくつ」より 著者:アンデルセンハンス・クリスチャン
ぬ。」と、天使はいいました。「赤いくつをはいて、踊っておれ。お前が青じろくなって
冷たくなるまで、お前のからだがしなびきって、骸骨になってしまうまで踊っておれ。お....
「歳時記新註」より 著者:寺田寅彦
』) 三 露 夜地上の草木土石が冷えて空気よりも
冷たくなると、空気中の湿気が持ち切れなくなって露と結ぶ。地面は昼間温かい太陽に向....
「方子と末起」より 著者:小栗虫太郎
切られているのに気が付いた。 (誰だろう……) と思うと、脊筋のへんが、慄っと
冷たくなるような気がした。二つの……魂を凍らすようなものが末起にぞくぞくと這いか....
「母たち」より 著者:小林多喜二
少しはよかったが、そうでない処は坐ってその上に毛布をかけていても、膝がシン/\と
冷たくなる。朝眼をさますと、皆の寝ている起伏の上に雪が一杯ふりかゝっているので吃....
「姫柚子の讃」より 著者:佐藤垢石
白泡を彩り、鶺鴒の足跡が玉石の面に凍てるようになれば、谷川の水は指先を切るほどに
冷たくなる。鰍の群れはこの冷たい水を喜んで、底石に絡わりながら上流へ遡ってゆく。....
「白花の朝顔」より 著者:泉鏡花
かも知れませんから。お葱や、豆府はまだしも、糸菎蒻だと思って下さいましね。お腹が
冷たくなるんですから……お酒はあります。あ、私にも飲まして頂載。もう一杯もっとさ....
「式部小路」より 著者:泉鏡花
は遁げられる、年紀は取る、不景気にはなる、看板は暗くなる、酒は酸くなる、座蒲団は
冷たくなる、火は消える、声は出なくなる、唄は忘れる、猫は煩らう、鼠は騒ぐ、襖は破....
「透明人間」より 著者:ウェルズハーバート・ジョージ
かまわんとも」 と、ごうまんな態度でこたえた。時計屋は、なにやら、ぞっと背すじが
冷たくなるような、いやな感じをうけた。できることなら、時計の修理などはほうりだし....
「釜沢行」より 著者:木暮理太郎
ると、濃藍色をした深い上流の山の端から、翠の影がさっと谷間を流れて、体がひやりと
冷たくなる。鶏冠山の真黒な岩壁にはいつもながら緑の大波が渦を巻いてぶつかっている....