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冷っこい
「冷っこい〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
冷っこいの前後の文節・文章を表示しています。該当する12件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「オリンポスの果実」より 著者:田中英光
た。
風呂場《シャワルウム》と兼用《けんよう》になっている、その部屋で、ぼくは
冷っこい便器に、腰《こし》を掛《か》けると、封筒を裏返してみました。ただ、K生よ....
「光の中に」より 著者:金史良
半兵衛とは二カ月余りも同じ留置場に寝起きしていた。彼のことを思うだけでも背筋には
冷っこいものが走るのを感じた。それは私が一層春雄を愛しているからである。私の脳裡....
「神州纐纈城」より 著者:国枝史郎
」 こんな悪いことを考え出した。 「あれは仙女だ。人間じゃあねえ。綺麗だけれど
冷っこいや。まるで血の気なんかありゃあしねえ。……だがマアそんな事あどうでもいい....
「足迹」より 著者:徳田秋声
。この女が平気で弁ることが、終いにはおそろしくなるようなことがあった。 お鳥は
冷っこい台所の板敷きに、脹ら脛のだぶだぶした脚を投げ出して、また浅草で関係してい....
「ロンドン一九二九年」より 著者:宮本百合子
をあげながら顫音《トレモロ》でロマンスを唄っている。 だが、彼女の皮膚はきっと
冷っこいのだ。それは若々しい彼女自身がしなやかな一つの楽器ででもあるようにああや....
「スモーリヌイに翻る赤旗」より 著者:宮本百合子
学校、中学校の教室を初めとして、家庭の内へまでやって来た。そして、十字架を握った
冷っこい手を子供の唇へ押しつけて、こわい声でいった。 ――お前、この世で一番偉....
「時計屋敷の秘密」より 著者:海野十三
た。 急に黒い雲が太陽をさえぎったために、日がかげった。そしてどこからともなく
冷っこい風が起って、少年たちのえりくびを吹いた。少年たちは、ぞっとしてくびをちぢ....
「艸木虫魚」より 著者:薄田泣菫
りまわした。 客はびくりして、取るものも取りあえず座から転び出した。 戸外の
冷っこい大気のなかで、客はやっと沈着を取り返すことが出来た。そして朝からのいきさ....
「繊細な美の観賞と云う事について」より 著者:宮本百合子
ると云う事を知らないで輝いて居るものである事を信じる。 美はどこの暗い中にでも
冷っこい隅にでもあるものだ、その普通の美よりももっと尊い美がより沢山ある事を若し....
「田原氏の犯罪」より 著者:豊島与志雄
いますぜ。火が燃えなくっちゃおしまいだ。燃えてるうちは大丈夫生きてるんだ。死人は
冷っこいものですぜ。石のようだ。私はね、それは火が燃えてねえからだと思うんですが....
「日記」より 著者:宮本百合子
思うと馬鹿馬鹿しいにもほうずがあると思う。 田舎にでも行ったりそろそろと始めて
冷っこい夜が来る様になったら目覚しい武者振を見せなければならない、古橋さんから百....
「無宿人国記」より 著者:吉川英治
持ちくずした身の傷は、癒るどころか、殖えるばかりで、今後のことも今となって、その
冷っこい川風の中で考えてみると……」 「それや、無理もない。惰性というもの、そこ....