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冷嘲
「冷嘲〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
冷嘲の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「行人」より 著者:夏目漱石
の言葉だけは忘れずにいるじゃありませんか」と兄がその後《あと》に随《つ》いてまた
冷嘲《ひやか》し始めた。岡田は兄の顔を見て、「久しぶりに会うと、すぐこれだから敵....
「明暗」より 著者:夏目漱石
れると病気も早く癒《なお》るんだがな」と云って看護婦を笑わせた彼は、すぐ彼女から
冷嘲《ひや》かし返された。
「でも毎日女の方ばかりいらっしゃいますね。よっぽど間....
「藁草履」より 著者:島崎藤村
裡《なか》で、大佐から賜ったのでした。源の目は嫉妬《しっと》の為に輝いて、口唇は
冷嘲《あざわら》ったように引|歪《ゆが》みました。今は誰一人源を振返って見るもの....
「霜凍る宵」より 著者:近松秋江
わかるはずだと思ったのであった。すると彼女は今まで話していた調子とすこし変って、
冷嘲するような笑い方をしながら、 「あんたはんそんなことをおいいやしたかて、お園....
「大菩薩峠」より 著者:中里介山
もなんでもないじゃないか、ほんの崖くずれのあとだ」
仏頂寺弥助が、丸山の発見を
冷嘲する。
丸山も一時は、発見を誇大に叫んでみたが、そう言われると、これが果し....
「大菩薩峠」より 著者:中里介山
に矢を放っているようなもので、「ばかにしてやがら」―― それはまあ、一種の自己
冷嘲として見ればいいのです。だが、何の故に、この際、自己
冷嘲を試みて自ら慰めるの....
「大菩薩峠」より 著者:中里介山
ろしと言ひて、時刻のことは答へもせず」
南渓子、養軒子は、ここでもまた充分の
冷嘲気分から醒《さ》めることができません。
「同じやうに人をおどろかすものかな....
「大菩薩峠」より 著者:中里介山
る。 はっと、油断すれば、もう仏頂寺弥助の亡霊が現われて哄笑《こうしょう》し、
冷嘲し、 「うまくやってるな」 と言う。それともう一段油断していると、仏頂寺その....
「樋口一葉」より 著者:長谷川時雨
ったとも聞いた。話込んでくると頬に血がのぼってくる、それにしたがって話もはずむ。
冷嘲《れいちょう》な調子のおりがことに面白かったとかいう。礼儀ただしいので躯《か....
「仇討姉妹笠」より 著者:国枝史郎
っしを見ねえとは阿漕ですねえ」 胡座から立て膝に直ったかと思うと、こう勘兵衛が
冷嘲すように云った。 「見忘れたんでもござんすまいに」 「わりゃア勘兵衛!」と主....
「ハイカラ考」より 著者:木村荘八
二字、我社会の総べてを形容し得可しとなし、而して其標本はハイカラーなりとし、漫罵
冷嘲、縦横翻弄して滔々たる高襟者流をして顔色無からしむ。真に痛絶稀に看る快心の著....
「二葉亭四迷の一生」より 著者:内田魯庵
るものなり、」とあるは当時の二葉亭が右すべきや左すべきやと迷った心状を自ら罵った
冷嘲であろう。二葉亭は人のする事が何でも面白くなって常に気が変るを到底事を成すに....
「贋物」より 著者:葛西善蔵
たのだが、舅には、今さら彼を眼前に引据えて罵倒する張合も出ないのであった。軽蔑と
冷嘲の微笑を浮べて黙って彼の新生活の計画というものを聴いていたが、結局、「それで....
「ソクラテス」より 著者:新渡戸稲造
にして非難の的となり、甚《はなはだ》しきは、この人を芝居の芸題などにして公々然と
冷嘲を浴せかけたこともある。 けれども、ソクラテスは終始|自若《じじゃく》とし....
「つゆのあとさき」より 著者:永井荷風
すると共にまた自分の生涯に対しても同じように半《なかば》は慷慨《こうがい》し半は
冷嘲《れいちょう》したいような沈痛な心持になる。そして人間の世は過去も将来もなく....