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「冷気〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

冷気の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
白蟻」より 著者:小栗虫太郎
午後の雷雨のために、湿気が吹き払われたせいか、山峡の宵深くは、真夏とも思われぬ冷気に凍えるのを感じた。頭上に骨っぽい峰が月光を浴びて、それが白衣を着た巨人のよ....
電気風呂の怪死事件」より 著者:海野十三
い衝動が伝った。何となく心臓の動悸も不整だな、と思いながらも、肌にひろがる午前の冷気に追われて、ザブンと一思いに身を沈めた。熱過ぎる位の湯加減である。頤の辺まで....
恐しき通夜」より 著者:海野十三
に云ったのは、赭ら顔の、でっぷり肥った川波船二大尉だった。窓の外は真暗で、陰鬱な冷気がヒシヒシと、薄い窓|硝子をとおして、忍びこんでくるのが感じられた。 「ほう....
地球盗難」より 著者:海野十三
。森に近づくに従って、夕暗は次第に濃くなった。そしてなんとなくゾクゾクするような冷気が、森の方から流れてくるような気がした。しかしここまで来た上は、なにかを掴ま....
人外魔境」より 著者:小栗虫太郎
わけではなく、四か所の石階に厳重な守りがあるからだ。 アフリカ奥地の夜、山地の冷気が絶望とともに濃くなってゆく。蟇と蟋蟀が鳴くもの憂いなかで、ときどき鬣狗がと....
恐竜島」より 著者:海野十三
みんなは息をころして、じっと耳をそばだてた。水にぬれた衣服を通して冷い岩肌の冷気がきゅうっと五体を緊張させた。 ほんのかすかな音である。どこからきこえるの....
人造人間エフ氏」より 著者:海野十三
しか太陽の光は木々の梢によってさえぎられ、夕方のようにうすぐらくなってきた。山の冷気がひんやりとはだえに迫る。名もしれない怪鳥のこえ! 巌にちる血痕 「そ....
死者の書」より 著者:折口信夫
り出ようとするときめき。 帷帳がふわと、風を含んだ様に皺だむ。 ついと、凍る様な冷気――。 郎女は目を瞑った。だが――瞬間|睫の間から映った細い白い指、まるで骨....
世界怪談名作集」より 著者:アンドレーエフレオニード・ニコラーエヴィチ
の声の波は、あるいはさざなみのごとくに、あるいは怒濤のごとくに彼を取り巻き、墓の冷気で冷やかになっている彼の顔の上には温かい愛の眼がそそがれ、一人の友達はその熱....
一週一夜物語」より 著者:小栗虫太郎
いか。 いずれにせよ、八日間精進のことは知っていたにちがいない。そして、雨後の冷気が、ムラ気と火遊びを鎮めるに充分だった――と。 やがて、夜が明けかかり闇が....
アッタレーア・プリンケプス」より 著者:ガールシンフセヴォロド・ミハイロヴィチ
とも時たま冬のあらしがガラスを吹きやぶって、霧氷をいっぱいに含んだ身を切るような冷気が、円天井の下へどっと流れ込むときは別でしたが。その冷気の流れに打たれたら最....
ピストルの使い方」より 著者:泉鏡花
たのではない事実だ、と云うんだ。湯を運ぶ印度人が、可恐く蛇ずきの悪戯で、秋寂びた冷気に珍らしい湯のぬくもりを心地よげに出て来る蛇を、一度に押えてせっちょうして、....
西航日録」より 著者:井上円了
北走す。十一日(日曜)夜、スエズに着す。当夜より運河に入りて航行す。気候は意外に冷気なり。運河はその幅およそ三十間くらいに見ゆ。まま四十間以上の所あり。両岸は一....
南半球五万哩」より 著者:井上円了
り、フィッツロイ公園の傍らに寓居を定む。メルボルンの気候はシドニーよりいくぶんか冷気の加わりたるがごときも、朝夕冬服、昼間夏服の気候にして、わが十月はじめごろに....
渋温泉の秋」より 著者:小川未明
、東京から来た客は帰って、温泉場には、派手な女の姿が見られなくなった。一雨毎に、冷気を増して寂びれるばかりである。 朝早く馬が、向いの宿屋の前に繋がれた。其の....