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冷淡
「冷淡〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
冷淡の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「浅草公園」より 著者:芥川竜之介
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同じ劇場の裏の上部。火のともった窓には踊り子が一人現れ、
冷淡に目の下の往来を眺める。この姿は勿論《もちろん》逆光線のために顔などははっき....
「大導寺信輔の半生」より 著者:芥川竜之介
与えたものは狼であると言う一節だった。彼は母の乳を知らぬことに爾来《じらい》一層
冷淡になった。いや、牛乳に育ったことは寧《むし》ろ彼の誇りになった。信輔は中学へ....
「玄鶴山房」より 著者:芥川竜之介
この先どうするでしょう?」
重吉は一本の敷島《しきしま》に火をつけ、出来るだけ
冷淡に返事をした。
「さあ、どう云うことになるか。……」
彼の従弟は黙っていた....
「疑惑」より 著者:芥川竜之介
いちごん》もこの客来《きゃくらい》を取次がないのも不審だった。しかしその男は私の
冷淡な言葉にもめげないで、もう一度額を畳につけると、相不変朗読《あいかわらずろう....
「一夕話」より 著者:芥川竜之介
を憎む余り、大怪我をさせたという事だろう。僕は小えんの身になって見れば、上品でも
冷淡な若槻よりも、下品でも猛烈な浪花節語りに、打ち込むのが自然だと考えるんだ。小....
「十円札」より 著者:芥川竜之介
ウォルフのリイドにも、乃至《ないし》はヴェルアアランの都会の詩にも頗《すこぶ》る
冷淡に出来上っている。こう云う粟野さんに芸術のないのは犬に草のないのも同然であろ....
「開化の良人」より 著者:芥川竜之介
て、一揆《いっき》を起すような連中は、自滅する方が当然だと思っている。』と、至極
冷淡な返事をしますと、彼は不服そうに首を振って、『それは彼等の主張は間違っていた....
「仙人」より 著者:芥川竜之介
いる白《はく》につれて、いろいろ所作《しょさ》をするようになると、見物もさすがに
冷淡を装っていられなくなると見えて、追々まわりの人だかりの中から、※子大《そうし....
「素戔嗚尊」より 著者:芥川竜之介
。が、その矢がいつも彼等のより高く揚る事を知ると、彼等は次第に彼の征矢《そや》に
冷淡な態度を装《よそお》い出した。のみならず彼等の中《うち》の何者かが、彼には到....
「侏儒の言葉」より 著者:芥川竜之介
ならば、情熱の不足などは患わずとも好い。それよりも寧《むし》ろ危険なのは明らかに
冷淡さの不足である。
恒産
恒産のないものに恒心のなかったのは二千....
「手紙」より 著者:芥川竜之介
人としてだけしか考えられません。家族とか財産とか社会的地位とか云うことには自然と
冷淡になっているのです。おまけに一番悪いことはその人としてだけ考える時でもいつか....
「点鬼簿」より 著者:芥川竜之介
為に生まれるが早いか養家に来たから、(養家は母かたの伯父の家だった。)僕の父にも
冷淡だった。僕の父は牛乳屋であり、小さい成功者の一人らしかった。僕に当時新らしか....
「トロッコ」より 著者:芥川竜之介
挟んでいなかったが)トロッコの側にいる良平に新聞紙に包んだ駄菓子をくれた。良平は
冷淡に「難有う」と云った。が、直に
冷淡にしては、相手にすまないと思い直した。彼は....
「久米正雄氏の事」より 著者:芥川竜之介
想起させる所もありますが、勿論全体としては別段似てもいません。 こう云う特質に
冷淡な人は、久米の作品を読んでも、一向面白くないでしょう。しかしこの特質は、決し....
「近藤浩一路氏」より 著者:芥川竜之介
のは愉快である。 今日の流俗は昨日の流俗ではない。昨日の流俗は、反抗的な一切に
冷淡なのが常であった。今日の流俗は反抗的ならざる一切に
冷淡なのを常としている。二....