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冷然
「冷然〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
冷然の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「偸盗」より 著者:芥川竜之介
、見ないようにして沙金の顔を横からそっとのぞいて見た。沙金は、この騒ぎのうちにも
冷然とたたずみながら、ことさら月の光にそむきいて、弓杖《ゆんづえ》をついたまま、....
「一夕話」より 著者:芥川竜之介
にやりと酔《よ》った人の微笑を洩《も》らした。
「そうかも知れない。」
飯沼は
冷然と受け流してから、もう一度和田をふり返った。
「誰だい、その友だちというのは....
「影」より 著者:芥川竜之介
と。」
陳の声はいつの間にか、力のある調子を失っていた。今西はしかし例の通り、
冷然と目礼を送ったまま、すぐに戸の向うへ隠れてしまった。
その内に更紗《さらさ....
「河童」より 著者:芥川竜之介
も死刑はありますか?」
「ありますとも。日本では絞罪《こうざい》です。」
僕は
冷然と構えこんだペップに多少反感を感じていましたから、この機会に皮肉を浴びせてや....
「彼」より 著者:芥川竜之介
《のち》、僕は偶然落ち合ったKと彼のことを話し合った。Kは不相変《あいかわらず》
冷然としていたのみならず、巻煙草を銜《くわ》えたまま、こんなことを僕に尋ねたりし....
「奇怪な再会」より 著者:芥川竜之介
、不審そうに彼女へ声をかけた。
「ちょいと行く所がありますから、――」
お蓮は
冷然と鏡台の前に、鹿《か》の子《こ》の帯上げを結んでいた。
「どこへ?」
「弥勒....
「黒衣聖母」より 著者:芥川竜之介
》ったまま、やはりその美しい象牙《ぞうげ》の顔に、ある悪意を帯びた嘲笑を、永久に
冷然と湛《たた》えている。――
(大正九年四月)....
「お律と子等と」より 著者:芥川竜之介
指腸の潰瘍《かいよう》なんだそうだ。」
「そうか。そりゃ――」
慎太郎はやはり
冷然と、それ以上何も云わなかった。が、その母譲りの眼の中には、洋一が予期していな....
「羅生門」より 著者:芥川竜之介
下人は、太刀を鞘《さや》におさめて、その太刀の柄《つか》を左の手でおさえながら、
冷然として、この話を聞いていた。勿論、右の手では、赤く頬に膿を持った大きな面皰《....
「路上」より 著者:芥川竜之介
め出した。俊助は外套の肩を聳やかせて、まるで女の存在を眼中に置かない人のように、
冷然とその前を通り過ぎた。三度《さんど》頭の上の雲を震わせた初雷《はつらい》の響....
「仙人」より 著者:芥川竜之介
始から手を拍って、面白がるが、大人は、容易に感心したような顔を見せない。むしろ、
冷然として、煙管《きせる》を啣《くわ》えたり、鼻毛をぬいたりしながら、莫迦《ばか....
「将軍」より 著者:芥川竜之介
うその叩頭を解釈した。
叩頭が一通り済んでしまうと、彼等は覚悟をきめたように、
冷然と首をさし伸した。田口一等卒は銃をかざした。が、神妙な彼等を見ると、どうして....
「侏儒の言葉」より 著者:芥川竜之介
ない。恐れるのは煽動家《せんどうか》の雄弁である。武后《ぶこう》は人天を顧みず、
冷然と正義を蹂躙《じゅうりん》した。しかし李敬業《りけいぎょう》の乱に当り、駱賓....
「或る女」より 著者:有島武郎
もし得ないでののしり騒ぐ人たちを、自分の生活とは関係のない木か石ででもあるように
冷然と尻目《しりめ》にかけた。
葉子はほんとうをいうと、必要に従うというほかに....
「或る女」より 著者:有島武郎
ゃないわ」
と責めるようにいった。
「でもうれしいんですもの」
愛子の答えは
冷然としていた。十畳の座敷に持ち込まれた行李《こうり》を明けて、よごれ物などを選....