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冷熱
「冷熱〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
冷熱の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「高山の雪」より 著者:小島烏水
ではない。夜は冷気のために雪が岩石の膚肌に凝結し、昼はそばから蒸発して行くので、
冷熱の変化から岩石を破壊し、山体を陶器の破片のように滅茶滅茶にして散乱させる。飛....
「新生」より 著者:島崎藤村
に言っていた。
六十七
しかし、節子に許した岸本の心とても
冷熱を繰返さずには動き進んで行くことが出来なかった。激しいパッションがやや沈まっ....
「創作家の態度」より 著者:夏目漱石
もかくも好悪《こうお》の両面を記述して、しかも公平に記述すると云う事は、あたかも
冷熱の二性を写して、湯と水を同一視しろと云う注文と同じ事で、それ自身において矛盾....
「ゴールデン・バット事件」より 著者:海野十三
と、手の甲をかえして拳の先で三和土の上をあちこち触れてみた。手の甲というものは、
冷熱の感覚がたいへん鋭敏である。医師が打診をするときの調子で、そこらあたりを圧え....
「黴」より 著者:徳田秋声
しいような日が幾日も続いた。 そんなことはお銀にも同じようにあるらしかったが、
冷熱はいつも男よりか順調であった。 「あなたは人を翫弄にする気だったんです。あの....
「物理学と感覚」より 著者:寺田寅彦
ある。 触感によって温度や重量の判断をする場合にもいっそう不確かなものである。
冷熱の感覚はその当人の状態にもよりまた温度以外にその物体の伝導度によるのである。....
「大菩薩峠」より 著者:中里介山
、王城の地はその鼎沸《ていふつ》の中心に置かれても、乞食となってみると、一向その
冷熱には感覚がないのです。かくてこの無感覚種族は、いかなる乱世にも存在の余地を保....
「樋口一葉」より 著者:長谷川時雨
もなければ勿論《もちろん》失恋でもない。恋というものに対して、自らの魂のなかで、
冷熱相戦った手記であると同時に、肉体と霊魂との持久戦でもあった。彼女もまた旧道徳....
「蘇生」より 著者:豊島与志雄
気にかざして、中の溶液をも一度すかし見た。それからそれをぐっと一息に飲み干した。
冷熱の分らないただ水銀のように重い感じのするものが、胃の底に流れ込んだのを感じた....
「子を奪う」より 著者:豊島与志雄
以て、依子に対するようになった。その合間々々には熱狂的な愛撫を示した。依子はこの
冷熱の間に苦しめられて、彼や幾代の方へ逃げていった。兼子はそれをまた抱き取ってき....
「レ・ミゼラブル」より 著者:豊島与志雄
ことを思うと心が暗くなった。
それに彼は、上品で寛容で誇らかで宗教的で熱誠で、
冷熱あわせ有する少年だった。厳酷なるまでに気品があり、粗野なるまでに純潔であった....
「秦の出発」より 著者:豊島与志雄
題の廻り合せか、秦は告白的な低声で丹永のことを語っていた。 「……氷炭相容れず、
冷熱並び存しない筈だが、あれのうちには、それが二つとも、りっぱに存在し得るのだ。....
「乾杯」より 著者:豊島与志雄
、書斎へはいりました。まだ身体はひどく酔いながら、精神はもう酔いがさめたような、
冷熱の合間にある心地でした。 彼は煙草に火をつけました。それを吸いながら、窓を....
「光は影を」より 著者:岸田国士
、という失望に似た気持と、その後に尾を引く胸苦しいまでの悔恨とが、彼をしばらく、
冷熱相交る感情のなかにさ迷わせたのである。 その日の夕方、彼は、たゞここ二日旅....
「素人製陶本窯を築くべからず」より 著者:北大路魯山人
になる諸家の素人窯から優秀なる名陶が生まれ出でようはずのないことは別段ここに氷炭
冷熱をいわずともみずから明らかではないか。それはいうまでもなく当たるに足るしかる....