冷飯草履[語句情報] » 冷飯草履

「冷飯草履〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

冷飯草履の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
政談月の鏡」より 著者:三遊亭円朝
っても上らなくっても宜《い》い、鰌《どじょう》の抜きを、大急ぎで然う云って来や、冷飯草履を穿《は》いて往《い》け殿様|彼《あれ》は年は二十三ですが、器量が好《よ....
坑夫」より 著者:夏目漱石
る。――その淋《さむ》しい山の方から、小僧が一人やって来た。年は十三四くらいで、冷飯草履《ひやめしぞうり》を穿《は》いている。顔は始めのうちはよく分らなかったが....
夢十夜」より 著者:夏目漱石
を潜《くぐ》ると杉の梢《こずえ》でいつでも梟《ふくろう》が鳴いている。そうして、冷飯草履《ひやめしぞうり》の音がぴちゃぴちゃする。それが拝殿の前でやむと、母はま....
趣味の遺伝」より 著者:夏目漱石
い。ぶら下がったぎり軍曹の顔を下から見上げたまま吾が子に引き摺《ず》られて行く。冷飯草履《ひやめしぞうり》と鋲《びょう》を打った兵隊靴が入り乱れ、もつれ合って、....
千曲川のスケッチ」より 著者:島崎藤村
て来た。人々は互に新年の挨拶を取換した。屠手の群はいずれも白い被服を着け、素足に冷飯草履という寒そうな風体で、それぞれ支度を始める。庭の隅にかがんで鋭い出刃包丁....
丹下左膳」より 著者:林不忘
てい》で、 「先ほどより、お駕籠がお待ち申しあげておりまする。では、どうぞ……」冷飯草履《ひやめしぞうり》を突っかけた作阿弥は、竹の杖を手に、一歩路地へ踏みだそ....
物売りの声」より 著者:寺田寅彦
ョウ、カエチョウ」と呼び歩くのは、多くは男の子で、そうして大概きまって尻の切れた冷飯草履をはいていたような気がする。それが持って来る菓子の中に「イガモチ」という....
草迷宮」より 著者:泉鏡花
草の上。 「なあよ、宰八、」 「やあ、」 と続いた、手ぼう蟹は、夥間の穴の上を冷飯草履、両足をしゃちこばらせて、舞鶴の紋の白い、萌黄の、これも大包。夜具を入れ....
丹下左膳」より 著者:林不忘
い》……! 「なんだ、お藤じゃアねえか。ここはおめえの巣か」 言いながら左膳、冷飯草履《ひやめしぞうり》をゴソゴソとぬいで、あがってきた。 狭い家中に、いっ....
大鵬のゆくえ」より 著者:国枝史郎
節は早春の正月だというのに手に渋団扇を持っている。脛から下は露出で足に穿いたのは冷飯草履。……この風態で尾行られたのでは紋太郎渋面をつくる筈だ。破れた三度笠を背....
塩原多助一代記」より 著者:三遊亭円朝
が出るくらい淋しい所へ、今多助が藁草履を穿き、すた/\やって来る跡から、ピタ/\冷飯草履を穿き、半合羽に小さいお太刀を差し手拭で頬被りをし、草履穿で、田舎帰りと....
名人地獄」より 著者:国枝史郎
へ、一人の田舎者がやって来た。着ている衣裳は手織木綿、きたないよれよれの帯をしめ冷飯草履を穿いていた。丈は小さく痩せぎすで、顔色あかぐろく日に焼けていた。 「ご....
魔像」より 著者:林不忘
紺絣《こんがすり》の筒っぽに白木綿《しろもめん》の帯《おび》をグルグル巻きにして冷飯草履《ひやめしぞうり》、いま言ったように釣竿を肩にどこにでも出かける。 こ....
顎十郎捕物帳」より 著者:久生十蘭
じゅうろう》、自分では、もう侍などとはすっぱり縁を切ったつもり。いわんや、古袷に冷飯草履、どうしたってお武家などという柄じゃない。そのまま行きすぎようとすると、....
顎十郎捕物帳」より 著者:久生十蘭
ているのか一向に寄りつかず、消息さえもなかったが、昨年の暮近く、垢だらけの素袷に冷飯草履をはき、まるで病上《やみあが》りの権八のような恰好で木枯《こがらし》とい....