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冽
「冽〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
冽の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「侏儒の言葉」より 著者:芥川竜之介
迦《ばか》げていると云う結論に到達せしめたこと。
少女。――どこまで行っても清
冽《せいれつ》な浅瀬。
早教育。――ふむ、それも結構だ。まだ幼稚園にいるうちに....
「城のある町にて」より 著者:梶井基次郎
ましい、素晴《すばら》しく幸福そうな眺めだった。涼しそうな緑の衝立の蔭。確かに清
冽《せいれつ》で豊かな水。なんとなく魅せられた感じであった。 きょうは青空よい....
「恩讐の彼方に」より 著者:菊池寛
。 それは八月に入って間もないある日であった。彼は秋の朝の光の輝く、山国川の清
冽《せいれつ》な流れを右に見ながら、三口から仏坂の山道を越えて、昼近き頃|樋田《....
「婦系図」より 著者:泉鏡花
んとは。我は偏に、君の家厳の、左右一顧の余裕のない、一時の激怒を惜むとともに、清
冽一塵の交るを許さぬ、峻厳なるその主義に深大なる敬意を表する。 英吉君、能うべ....
「俊寛」より 著者:菊池寛
だろう。それは、彼が鹿ヶ谷の山荘で飲んだいかなる美酒にも勝っていた。彼が、その清
冽な水を味わっている間は、清盛に対する怨みも、島にただ一人残された悲しみも、忘れ....
「綺堂むかし語り」より 著者:岡本綺堂
も「人馬飲ムベカラズ」ばかりではない。わたしが普蘭店で飲んだ噴き井戸の水などは清
冽珠のごとく、日本にもこんな清水は少なかろうと思うくらいであった。 海城の北門....
「青蛙堂鬼談」より 著者:岡本綺堂
から、遠い昔の人が掘ったものに相違ない。しかしこの井戸が最も深く、水もまた最も清
冽で、どんな旱魃にもかつて涸れたことがないので、この屋敷では清水の井戸といってい....
「黒死館殺人事件」より 著者:小栗虫太郎
全身をしっくりと包んで、陰闇の中から朦朧と浮き出させている。その光には、冷たい清
冽な敬虔な気品があって、また、それに暈とした乳白色の濁りがあるところは、奥底知れ....
「ドナウ源流行」より 著者:斎藤茂吉
のだそうである。 僕は「ドナウ源泉」(Donauquelle)を見に行った。清
冽な泉で、昔は寺の礼讃を終えてこの泉を掬んだということである。又公爵が家来を連れ....
「リギ山上の一夜」より 著者:斎藤茂吉
人の女人によって建てられたのだというものもあったし、それゆえその近くの巌間から清
冽な水の湧出るのを「尼の泉」と唱えるなどともいった。また或処の小さい寺には、「雪....
「紅毛傾城」より 著者:小栗虫太郎
したかと思われるばかりの、鋭い凝視だった。 頭上の、蒼白い太陽から降り注ぐ、清
冽な夜気の中で、渚の腐れ藻の間から、一人の女が身をもたげてきた。そして、体を動か....
「潜航艇「鷹の城」」より 著者:小栗虫太郎
れが酷いほどの理性であるような印象をうけるけれども、また一面には、氷河のような清
冽な美しさもあって、なにか心の中に、人知れぬ熾烈な、狂的な情熱でも秘めているよう....
「チベット旅行記」より 著者:河口慧海
白い所に黒点の混って居る大小幾羽の鴨がその池の辺に遊んで居るです。誠にその水の清
冽なることは透き通るばかり、雪融の水の集まった清浄な池といってよい。そういう所に....
「金山揷話」より 著者:大鹿卓
翌朝起きてみると、座敷は周囲の枯木とともに、雪に埋った崖のうえにたっていて、清
冽ないろをした谿流をへだてて対岸の雪景色が一目だった。ぼんやり眺めていると、陽の....
「黒部川奥の山旅」より 著者:木暮理太郎
引き伸したような山の空線は、山体に磅※き研きに研いて、蛍石のような輝きを帯びた晶
冽の気と化し、更に大空と映発して、偉大なる山の生命の盛なる活躍を暗示している。登....