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「凄み〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

凄みの前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
放浪」より 著者:織田作之助
眼に思わず涙がにじんだ。旅館の法被を羽織り提灯をもったオイチョカブの北田が、例の凄みを帯びた眼でじっとこちらをにらんでいたのだ。兄貴! 兄貴! とわめきながら船....
入れ札」より 著者:菊池寛
って登場、小鬢《こびん》の所に傷痕のある浅黒い顔、少しやつれが見えるためいっそう凄みを見せている。関東縞の袷に脚絆草鞋で、鮫鞘の長脇差を佩《はい》し菅《すげ》の....
恩讐の彼方に」より 著者:菊池寛
。それは、明らかに岩壁に向って鉄槌を下す音に相違なかった。実之助は、その悲壮な、凄みを帯びた音によって、自分の胸が激しく打たれるのを感じた。奥に近づくに従って、....
青春の逆説」より 著者:織田作之助
およしよ。あの人、不良よ」豹一の耳の傍で言った。 不良と聴いて、豹一の眼は一層凄みを帯びた。余りににらみ過ぎて、泪が出そうになったので、あわてて、眼をこすって....
渾沌未分」より 著者:岡本かの子
て、何代も都会の土に住み一性分の水を呑んで系図を保った人間だけが持つ冴えて緻密な凄みと執拗な鞣性を含んでいる。やや下ぶくれで唇が小さく咲いて出たような天女型の美....
わが町」より 著者:織田作之助
飛び込んだ。 そうして、背中いっぱいに青龍をあばれさせた勢いで、マニラじゅうへ凄みを利かせ、米人を見ると、 「こらッ。ベンゲット道路には六百人という人間の血が....
単独行」より 著者:加藤文太郎
の附近で見た富士山は広々とした真白な斜面がどこまでもつづいていて、御殿場で感じた凄みはなく、平凡な山としか見えない。大急ぎに急いでやっと三合目の附近で皆に追いつ....
山と雪の日記」より 著者:板倉勝宣
に出ている。Y字形の雪谷と、その上に噛みあった雪とが、藍色の水と相対して、一種の凄みがある。水の中に立った白樺のめぐりを、水にすれすれに円を画いて五、六匹の白蝶....
」より 著者:織田作之助
体が震えた。呆れるほど自信のないおどおどした表情と、若い年で女を知りつくしている凄みをたたえた睫毛の長い眼で、じっと見据えていた。 その夜、その女といっしょに....
人魚謎お岩殺し」より 著者:小栗虫太郎
して、幕切の見得の際には照明を暗くさせ、眼だけを白く抜いて、真赤に滲み出る毒血の凄みを、内部に塗った、燐で浮き出させる仕掛けにしたのである。そしてまた、これは後....
薄どろどろ」より 著者:尾上梅幸
手は陽のものでなくてはいけない、夜の海は陰のものだから、そこへ幽霊を出しては却て凄みがないと仰いました。亡父はなるほどと思って、浜辺の幽霊はおくらになってしまい....
チベット旅行記」より 著者:河口慧海
って坐って居るような人と見えないほどの骨格の逞しい人で、一見してぞっとするような凄みのある人でありますけれど、その行なうところを見るとそういう凄い殺伐の方でなく....
」より 著者:織田作之助
震えた。呆れるほど自信のないおど/″\した表情と、若い年齢で女を知りつくしている凄みとをたゝえた睫毛の長い眼で、じっと見据えていた。その夜、赤玉がカンバンになる....
放浪」より 著者:織田作之助
眼に思わず涙がにじんだ。旅館の法被を羽織り提灯をもったオイチョカブの北田が、例の凄みを帯びた眼でじっとこちらをにらんでいたのだ。兄貴! 兄貴! とわめきながら船....
わが町」より 著者:織田作之助
背中いっぱいに龍をあばれさせた勢いで、金時氷や清涼飲料を売るモンゴ屋には似合わぬ凄みを、マニラじゅうに利かせ、米人を見ると、 「ベンゲット道路には六百人という人....