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凄然
「凄然〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
凄然の前後の文節・文章を表示しています。該当する13件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「旗本退屈男」より 著者:佐々木味津三
おもむろに編笠をとりのけました。と同時に現れた面のすばらしさ! 今にして愈々青く
凄然として冴えまさったその面には、あの月の輪型の疵痕が、無言の威嚇を示しながらく....
「神州纐纈城」より 著者:国枝史郎
微動さえしない。冷たくそうして静かである。 「妾は恋を封じられております」それは
凄然たる声であった。 「お放しなさりませ。睨みましょうか」 「止せ!」と云うと陶....
「雪之丞変化」より 著者:三上於菟吉
い、長崎で、育ったものでござりますが、これ、土部の御隠居――」
雪之丞は、そう
凄然《せいぜん》たるこえで呼びかけると、深くうつむいて、しばし荒い息をしたが、サ....
「黄金虫」より 著者:佐々木直次郎
落しないでいるのだ。さまざまな方向に走っている深い峡谷は、あたりの風景にいっそう
凄然《せいぜん》とした森厳の趣をそえているのであった。 我々のよじ登ったこの天....
「蒲生氏郷」より 著者:幸田露伴
舎に身柄と云い器量と云い天晴《あっぱれ》立派な主人が埋められかかったのを思うと、
凄然《せいぜん》惻然《そくぜん》として家勝も悲壮の感に打たれない訳には行かなかっ....
「丹下左膳」より 著者:林不忘
ポタリ! ポタリ! と赤いものがしたたって、道路の土に溜まっているのではないか。
凄然たる微笑を洩らす泰軒。
きらり、きらりと月輪の士の抜き連れるごとに、鋩子《....
「三甚内」より 著者:国枝史郎
かれてついホロホロと涙ぐんだが、 「お父様の敵が討ちたいのでございます」 一句
凄然と云って退けた。 「む」と、甚内もこれには驚き、思わず声を詰まらせたが、 「....
「文学のふるさと」より 著者:坂口安吾
われます。 つまり、ただモラルがない、ただ突き放す、ということだけで簡単にこの
凄然たる静かな美しさが生れるものではないでしょう。ただモラルがない、突き放すとい....
「魔都」より 著者:久生十蘭
る。とすればすでにその大決心をしているのかも知れぬ。睡そうに垂れた瞼の間から一種
凄然たる光が洩れ出すのを見ても、何か不屈な決心を胸底に蔵しているように見える。し....
「南半球五万哩」より 著者:井上円了
波のなかに一船が奔弄されると詠じよう。) 八日、晴れ。高浪暁天にみなぎり、一望
凄然たり。ただ海鵝の波頭に舞うを見るのみ。今日食卓にワクをはむるも、なお器物転倒....
「六号室」より 著者:瀬沼夏葉
獄である。 『これが現実と云うものか。』アンドレイ、エヒミチは思わず慄然とした。
凄然たる月、塀の上の釘、監獄、骨焼場の遠い焔、アンドレイ、エヒミチはさすがに薄気....
「空色の着物をきた子供」より 著者:小川未明
、その子供は同じことをいいました。これを聞くと三|人は頭から水をかけられたように
凄然として逃げ出しました。 三郎は野原の中を駈け出しました。ほかの二人ももとき....
「山の人生」より 著者:柳田国男
そうである。『三峯山誌』の記するところによれば、御眷属子を産まんとする時は、必ず
凄然たる声を放って鳴く。心|直ぐなる者のみこれを聴くことを得べし。これを聴く者社....