凄艶[語句情報] » 凄艶

「凄艶〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

凄艶の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「いき」の構造」より 著者:九鬼周造
「いき」な頬は吉井勇《よしいいさむ》が「うつくしき女なれども小夜子《さよこ》はも凄艶《せいえん》なれば秋にたとへむ」といっているような秋の色を帯びる傾向をもって....
深夜の市長」より 著者:海野十三
きっといい人ですよ」と僕はソッと言葉を※んだ。 「兄ですって?」女は涙に濡らした凄艶な顔を起して叫んだ。 「兄がどうしてあたくしを迎えてくれるものですか。それが....
地獄の使者」より 著者:海野十三
っかり窶《やつ》れ果て、別人のように見えた。それでも生れついた美貌は、彼女を一層凄艶に見せていた。一つには、三津子は今日は和服に着換えているせいもあったろう。そ....
千早館の迷路」より 著者:海野十三
半身を起している死神のような顔をした痩せ衰えた男。それと、その横に寄り添っている凄艶なる女性――それこそ田鶴子に違いなかったが、気味の悪い死神のような病人は何者....
人造人間事件」より 著者:海野十三
て、病院の玄関前にピタリと停った。彼は見た。自動車の中には、中腰になって、洋装の凄艶なマダムとも令嬢とも判別しがたい美女が乗っていた。しかしなんという真青な顔だ....
伯爵の釵」より 著者:泉鏡花
視められた。――これだけは工夫した女優の所作で、手には白金が匕首のごとく輝いて、凄艶比類なき風情であった。 さてその鸚鵡を空に翳した。 紫玉の※った瞳には、....
巴里祭」より 著者:岡本かの子
らしいかなり多勢の行人の影が見えた。その頭の上に抜きん出て銀色に光る兜のうしろに凄艶な黒いつやの毛を垂らしている近衛兵が五六騎通った。 ――あんた、まさか奥さん....
照葉狂言」より 著者:泉鏡花
、はじめてうるめる声して、 (親ちゃん、) とばかりはたと扇子落して見返りし、凄艶なる目の中に、一滴の涙宿したり。皆泣伏しぬ。迎の俥来たれば乗りて出でき。 ....
怪しの者」より 著者:国枝史郎
した。お柳の顔色はさすがに蒼く、その眼は血走っておりましたが、それだけにかえって凄艶で、わたしとしましてはお柳という女を、この時ほど美しいと思ったことは、ほかに....
生死卍巴」より 著者:国枝史郎
を食み出して夕顔の花が、それこそ女の顔のように、白くぽっかりと浮いて見えるのが、凄艶の趣きを充分に添えた。 その夕顔の花の下に立って、そう美女が侍を呼びかけた....
剣侠」より 著者:国枝史郎
ていたが、鼻がひときわ高かったので、ここで一点ぶちこわしていた。毒婦型に嵌まった凄艶の女! そう云えば足りる女であった。 パチリと女は腕を打った。どうやら藪蚊....
作画について」より 著者:上村松園
じまいでした。 焔 「焔」は私の数多くある絵のうち、たった一枚の凄艶な絵であります。 中年女の嫉妬の炎――一念がもえ上って炎のようにやけつく形....
豆腐買い」より 著者:岡本かの子
すっかりなおって居ない。そして少し気の狂った病的な円熟が中年の美女のいろ艶を一層凄艶にして居た。 「あなたに逢って何もかもうれしい」 そして、そこの襖を開けて....
歌麿懺悔」より 著者:邦枝完二
った身は、どこか昔と違う、お屋敷風の品さえ備わって、恰も菊之丞の濡衣を見るような凄艶さが溢れていた。 が、歌麿の微笑は冷たかった。 「お旗本のお使いと聞いたか....
白花の朝顔」より 著者:泉鏡花
帯の糸錦が薬玉に飜ると、溢れた襦袢の緋桜の、細な鱗のごとく流れるのが、さながら、凄艶な白蛇の化身の、血に剥がれてのた打つ状して、ほとんど無意識に両手を拡げた、私....