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凋
「凋〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
凋の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「袈裟と盛遠」より 著者:芥川竜之介
みの恐しさを、己の眼の前へ展げて見せた。その間も、あの女の淫《みだ》りがましい、
凋《しお》れた容色の厭らしさが、絶えず己を虐《さいな》んでいた事は、元よりわざわ....
「奇遇」より 著者:芥川竜之介
綉※《きんしせんしゅうとん》の属《ぞく》ばかりだから、この頃のうそ寒《さむ》にも
凋《しお》れていない。窓の間には彫花《ちょうか》の籠《かご》に、緑色の鸚鵡《おう....
「女」より 著者:芥川竜之介
の葉と花との隙間《すきま》をくぐって、一つの枝の先へ這い上った。先には土いきれに
凋《しぼ》んだ莟《つぼみ》が、花びらを暑熱に※《ねじ》られながら、かすかに甘い※....
「妖婆」より 著者:芥川竜之介
植なんだ。ところがあの雨の日に咲いた瑠璃色《るりいろ》の花だけは、奇体に今日まで
凋《しぼ》まないんだよ。お敏さんは何でもこの花が咲いている限り、きっと君は本復す....
「宇宙の始まり」より 著者:アレニウススヴァンテ
火焔に包まれた天体の渾沌たる一群が光輝の絶頂で輝いているかと思うと、また一方では
凋落しかかった星団があってその中に見える変光星は衰亡の近づいたことを示している。....
「綺堂むかし語り」より 著者:岡本綺堂
うせ食詰者でしょうよと、店の男は笑いながら云った。 夏の日は暑い。垣の鼓子花は
凋れていた。(明治39・8) 日光の秋八月、中禅寺をさして旧道をたどる。 紅....
「崩れる鬼影」より 著者:海野十三
に攫われてしまいそうな気がしてくる」 私は先程の元気も嬉しさもが、いつの間にか
凋んでしまったのに気がつきました。ザワザワと高く聳えている杉の梢が風をうけて鳴り....
「世界怪談名作集」より 著者:岡本綺堂
が入り口の下に見えなくなろうとしている時、かの美しい花束がすでに彼女の手のうちで
凋れかかっているように見えた。しかし、それは愚かな想像で、それほど離れたところに....
「星女郎」より 著者:泉鏡花
いそうな貴婦人も、差俯向いて、無言の処で、仔細は知れず……花室が夜風に冷えて、咲
凋れたという風情。 その内に、肩越に抱くようにして投掛けていた貴婦人の手で脱が....
「世界怪談名作集」より 著者:岡本綺堂
もないことで、ゆうべの僕の顔色だけでは、言葉の意味はわかるまい。僕は伏目になって
凋れかえって、ほんの少しばかり口をきいただけであったが、僕の窮厄の暗黒なる地平線....
「唇草」より 著者:岡本かの子
に移して表現して仕舞うときには、遅かれ早かれその情感は実になることを急ぐか、咲き
凋んで仕舞うかするに決ってることだけは知っています。つまり、結婚へ急ぐか、飽満し....
「錦紗」より 著者:犬田卯
へ置き忘れてでもいるんだねえか」と軽く受けた。 「そんなはずはないんですがね。」
凋れるお通を見ると、それでも、「拾得人が届けてよこしたらすぐに知らせるから。――....
「誓之巻」より 著者:泉鏡花
せゆきぬ。と見れば次の室は片付きて、畳に塵なく、床花瓶に菊一輪、いつさしすてしか
凋れたり。 東枕 襖左右に開きたれば、厚衾重ねたる見ゆ。東に向けて臥....
「源之助の一生」より 著者:岡本綺堂
をも好まなかったらしい。 かつては自分の相手方であった団菊左の諸名優も相次いで
凋落し、後輩の若い俳優らが時を得顔に跋扈しているのを見ると、彼はその仲間入りをす....
「南半球五万哩」より 著者:井上円了
防寒の設備を欠くもの多し。しかれども、余の滞在当時は南風黄葉を吹き散じ、菊花多少
凋落に傾けるを見る。しかして黄葉ありて紅葉なきは、降霜せざるためならん。 驟雨欲....