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凍み
「凍み〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
凍みの前後の文節・文章を表示しています。該当する8件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「生まれいずる悩み」より 著者:有島武郎
性にさえなり兼ねた北人の心に、春の約束がほのぼのと恵み深く響き始める。 朝晩の
凍み方はたいして冬と変わりはない。ぬれた金物がべたべたと糊のように指先に粘りつく....
「千曲川のスケッチ」より 著者:島崎藤村
間へ掛けた雑巾の跡が直に白く凍る朝なぞはめずらしくない。夜更けて、部屋々々の柱が
凍み割れる音を聞きながら読書でもしていると、実に寒さが私達の骨まで滲透るかと思わ....
「分配」より 著者:島崎藤村
一度降ったら春まで溶けずにある雪の積もりに積もった庭に向いた部屋で、寒さのために
凍み裂ける恐ろしげな家の柱の音なぞを聞きながら、夜おそくまでひとりで机にむかって....
「小祝の一家」より 著者:宮本百合子
た家のおっかあ連がかたまって戦地からかえせと押しかけたような事件もあった。川風が
凍みるからと云って、焼き立ての「おやき」の熱いところを懐へ入れ、それを喰い喰い夜....
「次郎物語」より 著者:下村湖人
に三人の耳につき出していた。水際に沿って細長く張っている白い氷の上に落葉が点々と
凍みついていたが、それが次郎の眼には、さっきから、大きな蛇の背紋のように見えてい....
「雪渡り」より 著者:宮沢賢治
《たくさん》の小さな小さな鏡のようにキラキラキラキラ光るのです。 「堅雪かんこ、
凍み雪しんこ。」 二人は森の近くまで来ました。大きな柏《かしわ》の木は枝《えだ....
「三人の訪問者」より 著者:島崎藤村
かった。軒に垂れる剣のような氷柱の長さは二尺にも三尺にも及んだ。長い寒い夜なぞは
凍み裂ける部屋の柱の音を聞きながら、唯もう穴に隠れる虫のようにちいさくなって居た....
「黒部川奥の山旅」より 著者:木暮理太郎
、静に霧の底に横たわっている。それを匝って山の裾らしい朧ろの線が、雪田の縁に固く
凍み付いて、上の方は有耶無耶に化けている。茫漠たる雪の高原、すべてが灰色の冬で、....