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凍り
「凍り〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
凍りの前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「西郷隆盛」より 著者:芥川竜之介
の家の明りだか、汽車の煙突から出る火花だか判然しない。その中でただ、窓をたたく、
凍りかかった雨の音が、騒々しい車輪の音に単調な響を交している。
本間さんは、一....
「或る女」より 著者:有島武郎
子が自然に船客の注意の焦点となり、話題の提供者となったのは不思議もない。毎日毎日
凍りつくような濃霧の間を、東へ東へと心細く走り続ける小さな汽船の中の社会は、あら....
「第五氷河期」より 著者:海野十三
になってしまった。下水がいっこうに流れないのであった。そして雪といっしょになって
凍りついた。 積雪は、もはや道路のうえから取り除くことができなくなった。連日、....
「生まれいずる悩み」より 著者:有島武郎
らしぶしぶ進んで行く。ざぶり‥‥ざぶり‥‥寒気のために比重の高くなった海の水は、
凍りかかった油のような重さで、物すごいインド藍の底のほうに、雲間を漏れる日光で鈍....
「眉かくしの霊」より 著者:泉鏡花
いたわしいことに――裾をつつもうといたします、乱れ褄の友染が、色をそのままに岩に
凍りついて、霜の秋草に触るようだったのでございます。――人も立ち会い、抱き起こし....
「断層顔」より 著者:海野十三
たんだ。そして定員は三十九名から一名増加して四十名になったんだ」 桝形の目が、
凍りついたように帆村の横顔を見ている。帆村は相変らずそんなことには無礼者だ。(彼....
「千早館の迷路」より 著者:海野十三
あげ、麗しき客の面を見た。二人の視線はぶつかった。しかしいずれの視線も氷のように
凍りついていた。普通の場合だったら、どちらもぱっと頬を染めたであろうに。 「今日....
「大空魔艦」より 著者:海野十三
かり感じがなくなり、まるで他人の顔のような気がするのであった。 下はまっしろに
凍りついた氷原である。 ものの形らしいのは、氷上の難破船一つであった。 「あれは....
「地底戦車の怪人」より 著者:海野十三
のことで二重の恐ろしさを、ひしひしと感じ、ますます青くなって、ちぢかんだ。南極の
凍りついた海底ふかくおちこんだうえに、人間の幽霊のほかに、林檎の幽霊にまで、くる....
「東京要塞」より 著者:海野十三
非常警戒
凍りつくような空っ風が、鋪道の上をひゅーんというような唸り声をあげて滑ってゆく。....
「歌行灯」より 著者:泉鏡花
……私のそれは、師走から、寒の中で、八百|八島あると言う、どの島も皆白い。霜風が
凍りついた、巌の角は針のような、あの、その上で、(こいし、こいし。)って、唇の、....
「露肆」より 著者:泉鏡花
も見える襤褸頭巾に包まって、死んだとも言わず、生きたとも言わず、黙って溝のふちに
凍り着く見窄らしげな可哀なのもあれば、常店らしく張出した三方へ、絹二子の赤大名、....
「初雪」より 著者:秋田滋
から引ッ返して来た。彼女は二三度あわや雪のうえに倒れてしまうかかと思われた。体は
凍り切ってしまって、もう自分の体のような気がしなかった。けれども、彼女はそのまま....
「北斗帖」より 著者:違星北斗
られ まず今日の日記に書かん初霰 雪除けや外で受け取る新聞紙 流れ水流れながらに
凍りけり 塞翁の馬で今年も暮れにけり 雪空に星一つあり枯木立 枯葉みな地に抱れん....
「私の履歴書」より 著者:井上貞治郎
えてくる。はだをさす寒風が吹きつのって手や顔はむしろ痛く、私が振るりんの音までが
凍りつくようであった。そんなときうどんを買ってくれた客から『悪いことはいわないか....