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凍る
「凍る〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
凍るの前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「偸盗」より 著者:芥川竜之介
爺《おじ》は、この問答を聞くと、ある予期と恐怖とに襲われて、からだじゅうが一時に
凍るような心もちがした。そうして、また大きな声でうなった。平六と同じような理由で....
「或る女」より 著者:有島武郎
さをしみじみと思い知った。死もしくは死の隣へまでの不思議な冒険……そう思うと血は
凍るかと疑われた。
「ふたーつ」
葉子の声はますます震えた。こうして数を読んで....
「富士」より 著者:岡本かの子
勝手におれ、年がら年中冷たい雪を冠っておるのがいいのさ。草木も懐かぬ裸山でおれ。
凍るものから、餌食を見出して来やがれ」 ぺっぺっぺっと唾を三度、庭に吐き去りか....
「夜行巡査」より 著者:泉鏡花
の死せんことを、むしろ殺さんことを欲しつつありし悪魔を救わんとして、氷点の冷、水
凍る夜半《よわ》に泳ぎを知らざる身の、生命とともに愛を棄てぬ。後日社会は一般に八....
「半七捕物帳」より 著者:岡本綺堂
しいと思う頃に、次の間の畳を滑るような足音が微かに響いた。お蝶は惣身の血が一度に
凍るように感じられて、あわてて衾を深くかぶって枕の上に俯伏してしまうと、墨塗りの....
「海野十三敗戦日記」より 著者:海野十三
頭上に在りて年明くる ちらちらと敵弾燃えて年明くる 焼夷弾ひりし敵機や月
凍る ◯伊東福二郎君来宅。去る二十七日の空襲に、彼の家の三軒隣りの前の五間道路に....
「半七捕物帳」より 著者:岡本綺堂
いろいろに考えながら歩いた。枯れ柳の暗いかげを揺りみだす夜風が霜を吹いて、半七は
凍るように寒くなった。かれは柳の下に荷をおろしている夜鷹蕎麦屋の燈火をみて思わず....
「少年探偵長」より 著者:海野十三
三人とも汗びっしょりである。いまさらのように、兇悪無残なやりかたに、腹の底まで
凍るような気持ちである。さいわい、三人とも怪我がなかったからよかったようなものの....
「鷭狩」より 著者:泉鏡花
銚子を二本。行届いた小取まわしで、大びけすぎの小酒もり。北の海なる海鳴の鐘に似て
凍る時、音に聞く……安宅の関は、この辺から海上三里、弁慶がどうしたと? 石川県|....
「巴里の唄うたい」より 著者:岡本かの子
がそこに哀しくなすり出される。燐花のように無気味な青い瓦斯の洩れ灯が投げられる。
凍る深夜の白い息吐きが――そしてたちまちはげしい自棄の嘆きが荒く飛んで聴衆はほと....
「くろん坊」より 著者:岡本綺堂
何とはなしにぞっと聞えるのである。それをじっと聞いているうちに、肉も血もおのずと
凍るように感じられて、骨の髄までが寒くなって来たので、叔父は引っ返して蒲団の上に....
「雪女」より 著者:岡本綺堂
套の襟に顔をうずめて、十分に防寒の支度を整えていたのであるが、それでも総身の血が
凍るように冷えて来た。おまけに途中で日が暮れかかって、灰のような細かい雪が突然に....
「J・D・カーの密室犯罪の研究」より 著者:井上良夫
同時に頭部めがけて弾丸が射出される。 ――ピストルの引金に紐が結びつけられ、水が
凍る時の膨張力でこの紐が引かれ発射される。 ――時計のねじをかけると弾丸が発射さ....
「卵塔場の天女」より 著者:泉鏡花
った銀杏返を、そそげさして、肩掛もなしに、冷い頸をうつむけて、雨上りの夜道を――
凍るか……かたかたかたかたと帰って行く。…… 土地に大川|通がある。流に添った....
「飛騨の怪談」より 著者:岡本綺堂
れより更に奥深く進むと、第二の黒い石門が扉のように行手を塞いでいて、四辺の空気は
凍るばかりに寒かった。 「この先にも路があるかね。」 「ありますから、まあ入って....