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凡愚
「凡愚〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
凡愚の前後の文節・文章を表示しています。該当する12件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「旅愁」より 著者:横光利一
限の後方では相交るというものを、――僕らは、まだ交る無限のその部分にはいない下根
凡愚かもしれぬ。ともあれ、水落ちれば石あらわれ、人間それぞれ自分の神のおん名を呼....
「惜別」より 著者:太宰治
のかどうか、それはどうも保証し難い。自分では事実そのままに語っているつもりでも、
凡愚の印象というものは群盲象をさぐるの図に似て、どこかに非常な見落しがあるかも知....
「連環記」より 著者:幸田露伴
からぬことのありし歟。すべて遠き古の事、考え知らんにも今如何ともし難けれど、我等
凡愚にはただ因縁不可思議とのみ存ずる、何様いうものでござろうか、と意外な逆手に出....
「現代日本の思想対立」より 著者:戸坂潤
由主義の最後の根拠を、哲学上の理想主義(人格の成長の願望)に求めようとする哲学的
凡愚と、物を考えるのに形式論理的なメカニズムしか使うことを知らない卑俗さにあるの....
「万葉秀歌」より 著者:斎藤茂吉
く仮合の身滅び易く、泡沫の命|駐め難し。所以に千聖|已に去り、百賢留らず、況して
凡愚の微しき者、何ぞも能く逃避せむ。但我が老いたる親|並に菴室に在り。我を待つこ....
「私の葬式」より 著者:坂口安吾
に誰かゞいて起きていてくれないと夜など寂寥に息絶ゆる苦悶を覚えるものであるから、
凡愚の私が死床で孤独でありうる勇気があるのかはかりがたいけれども、身辺の人のほか....
「親鸞」より 著者:三木清
のみありて通入すべき路なり。」『安楽集』による。 「その機はすなはち一切善悪大小
凡愚なり。」 ○悪人正機 「これも悪凡夫を本として善凡夫を傍に兼ねたり。かる....
「澪標」より 著者:外村繁
惰性的になり、さして多くもない経験に甘えて、私は高をくくっているのである。まるで
凡愚の上にあぐらをかいているようで、これでは精神が昂揚するはずがない。しかし実際....
「宮本武蔵」より 著者:吉川英治
えて、遠くから、明け暮れ取りこし苦労をしていることは、およそ剣聖と名人の父子も、
凡愚と俗才の父子も、その煩悩さにおいては何のかわりもない。 殊に、石舟斎は、昨....
「私本太平記」より 著者:吉川英治
な顔はするな。断っておいたではないか、もう密盟の話のほうは打切りだと。これからは
凡愚と
凡愚の交わりで行くのだ。その引出物に進上したいものがある。受け取ってくれま....
「随筆 宮本武蔵」より 著者:吉川英治
かったものがただ一つあった。剣である。その道である。 剣をとおして、彼は人間の
凡愚と菩提を見、人間という煩悩のかたまりが、その生きるための闘争本能が、どう処理....
「大岡越前」より 著者:吉川英治
ことだ。ここへ自分を蹴陥すことが、誰にもいちばんなし易い、やけくその境地であり、
凡愚の立命でもあった。 市十郎は、よく飲んだ。お島もつよい。しかし、そのお島よ....