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凭れ
「凭れ〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
凭れの前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「婦系図」より 著者:泉鏡花
ばかりの男の子が、指を銜えながら往来をきょろきょろと視める背後に、母親のその背に
凭れかかって、四歳ぐらいなのがもう一人。 一陣風が吹くと、姿も店も吹き消されそ....
「陽炎座」より 著者:泉鏡花
頃から、どこともなく、遠くで鳴物の音が聞えはじめた。 松崎は、橋の上に、欄干に
凭れて、しばらく彳んで聞入ったほどである。 ちゃんちきちき面白そうに囃すかと思....
「革鞄の怪」より 著者:泉鏡花
、また二ツ三ツ頭が来て、額で覗込む。 私の窓にも一つ来た。 と見ると、板戸に
凭れていた羽織袴が、 「やあ!」 と耳の許へ、山高帽を仰向けに脱いで、礼をした....
「薄紅梅」より 著者:泉鏡花
月村へ出向くのさ。隅田に向いた中二階で、蒔絵の小机の前を白魚船がすぐ通る、欄干に
凭れて、二人で月を視た、などと云う、これが、駿河台へ行く一雪の日取まで知っている....
「縁結び」より 著者:泉鏡花
、もったいなくッて憚ったから、今、お君さん、お前が坐っているそこへ坐ってね、机に
凭れて、」 と云う時、お君はその机にひたと顔をつけて、うつぶしになった。あらぬ....
「政談十二社」より 著者:泉鏡花
二 「何か変ったこともないか。」と滝に臨んだ中二階の小座敷、欄干に
凭れながら判事は徒然に茶店の婆さんに話しかける。 十二社あたりへ客の寄るのは、....
「悪獣篇」より 著者:泉鏡花
人の肩の下へ手を入れて、両方の傍を抱いて起した。 浦子の身は、柔かに半ば起きて
凭れかかると、そのまま庭へずり下りて、 「ござれ、洲の股の御前、」 といって、....
「黒百合」より 著者:泉鏡花
歎息して、力なげにほとんどよろめいたかと見えて、後ざまに壁のごとき山腹の土に
凭れかかり、 「滝さん、まあ、こうやって、どうする意だねえ。いいえ、知ってるさ。....
「アグニの神」より 著者:芥川竜之介
てしまったのですもの。どんなことを言ったか、知りはしないわ」 妙子は遠藤の胸に
凭れながら、呟くようにこう言いました。 「計略は駄目だったわ。とても私は逃げられ....
「春昼後刻」より 著者:泉鏡花
のである。 「貴下お呼び留め申しまして、」 とふっくりとした胸を上げると、やや
凭れかかって土手に寝るようにしていた姿を前へ。 「はあ、何、」 真正直な顔をし....
「瓜の涙」より 著者:泉鏡花
柱に、肌襦袢ばかりを着た、胡麻塩頭の亭主が、売溜の銭箱の蓋を圧えざまに、仰向けに
凭れて、あんぐりと口を開けた。 瓜畑を見透しの縁――そこが座敷――に足を投出し....
「白花の朝顔」より 著者:泉鏡花
、襟脚がくっきり白い。大島絣に縞縮緬の羽織を着たのが、両袖を胸に合せ、橋際の柱に
凭れて、後姿で寂しそうに立っている。横顔をちらりと視て通る時、東山の方から松風が....
「三枚続」より 著者:泉鏡花
打傾いたり、首垂れたり、溜息をしたり、咳いたり、堅炭を埋けた大火鉢に崩折れて
凭れたり、そうかと思うと欠伸をする、老若の患者、薬取がひしと詰懸けている玄関を、....
「式部小路」より 著者:泉鏡花
、糸竹の 浮きたるふしなく、情も恋も 江戸紫や、色香いろはの 手習して、小机に打
凭れ、 紅筆を含める状を、垣間 見てこそ頷きけれ。 明治三十九年丙午十二月 鏡....
「活人形」より 著者:泉鏡花
ン、と反返るを抱き止めて、泰助|屹と振返れば、柱隠しの姿絵という風情にて、床柱に
凭れて立つ、あら怪しき婦人ありけり。 つくづくその婦人を見るに、年は二十二三な....