出し抜け[語句情報] »
出し抜け
「出し抜け〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
出し抜けの前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「浜菊」より 著者:伊藤左千夫
熱がなく力がない。予も思わず岡村の顔を見て、其気張りのないのに同情した。岡村は又
出し抜けに、 「君達の様に文芸に遊ぶの人が、時代おくれな考えを持っていてはいけな....
「野菊の墓」より 著者:伊藤左千夫
、いつのまにか民子が笊《ざる》を手に持って、僕の後にきていた。 「政夫さん……」
出し抜けに呼んで笑っている。 「私もお母さんから云いつかって来たのよ。今日の縫物....
「耽溺」より 著者:岩野泡鳴
た。 「全体、まア」と、はじめから怪幻な様子をしていたお貞が、「どうしたことよ、
出し抜けになぞ見たようで?」 「なアに、おッ母さん、けさ、僕が落したがま口を拾っ....
「八幡太郎」より 著者:楠山正雄
のことでした。ある日義家が何気なく野原を通って行きますと、草の深く茂った中から、
出し抜けにばらばらとがんがたくさん飛び立ちました。義家はこれを見てしばらく考えて....
「葛の葉狐」より 著者:楠山正雄
の乱暴なしわざを見て、保名はかっと腹を立てて、 「あなたはだれです。断りもなく、
出し抜けに人の幕の中に入って来るのは、乱暴ではありませんか。」 ととがめました....
「安達が原」より 著者:楠山正雄
して、 「もしもし、お坊さま、そこに何をしておいでだえ。」 と声をかけました。
出し抜けに呼びかけられたので、坊さんは思わずぎょっとしながら、 「ああ、おばあさ....
「松山鏡」より 著者:楠山正雄
の後から一間に入って行きました。そして娘が一心に鏡の中に見入っているうしろから、
出し抜けに、 「お前、何をしている。」 と声をかけました。娘はびっくりして、思....
「女難」より 著者:国木田独歩
居住いを直して顔を横に向けました。私は変ですから坐ることもできません、すると武が
出し抜けに、 『見てもらいたいと言うたのはこれでございます』というや女は突っ伏し....
「瘤とり」より 著者:楠山正雄
」 といって、そこらを見回しました。 やがておかしらのそばに座っていた鬼が、
出し抜けに大きな声で歌を歌い出しました。するとさっきの若い鬼も、すその方から前へ....
「狂女」より 著者:秋田滋
き摺りおろすわけにも行きかねたので、いささか持余したかたちだったが、やがて、彼は
出し抜けにからからと笑いだした。そして独逸語で何やら命令を下した。 するとまも....
「競漕」より 著者:久米正雄
驚いたらしかったが、日焼けのした窪田の顔をそっと微笑みながら見上げて言った。 「
出し抜けに妙なことを持ち込んだものだね。しかし僕を引っ張り出さなくたって、ほかに....
「寡婦」より 著者:秋田滋
ごうとするかのように、綿のような靄がいちめんに漂っておりました。すると、その子は
出し抜けに立ちどまって、私の手をにぎり緊めて、こう云うのです。 「あれを御覧なさ....
「壁の眼の怪」より 著者:江見水蔭
なたが、拙者と一緒に、この土地をひそかに逃げ出しては下さらぬか」 「まァ何という
出し抜けの縁談であろう」 「それがいやとなら、是非もない、改めて拙者は、そなたの....
「親ごころ」より 著者:秋田滋
はそわそわと落ち付かぬ容子をして、亭主と同じように切りに思い出そうとしていたが、
出し抜けに、囁くような声でこう云った。 「そう、そう――だけど、あのひとのほうが....
「蛇性の執念」より 著者:大倉燁子
私の部屋に迎えましたが、お梶さんは私が会い度いと思っていた事なぞ存じませんから、
出し抜けの訪問を気にして、無暗に詫言ばかり申しているのです。でも一と通りの挨拶を....