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出京
「出京〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
出京の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「青木の出京」より 著者:菊池寛
吉は、さっきから青木に対して、どんな態度を取るべきかを、必死に考えていた。青木の
出京! それは彼にとって、夢にも予期しないことだった。しかも、その青木と不用意に....
「並木」より 著者:島崎藤村
田は遠からず帰朝すると言うし、高瀬は山の中から出て来たし、いよいよ原も家を挙げて
出京するとなれば、連中は過ぐる十年間の辛酸を土産《みやげ》話にして、再び東京に落....
「乱世」より 著者:菊池寛
新婚の夢|円かであった格之介は、その夏、不意に京都在番を命ぜられて、数人の同僚と
出京して以来、所司代屋敷のお長屋のむさくるしい部屋で、一年半に近い間、満されない....
「家」より 著者:島崎藤村
婦して子供を育てるということすら容易でなかった。 丁度三吉は学校の用向を帯びて
出京した留守で、家では皆な主人の帰りを待侘びていた。 「今晩は」 こう声を掛け....
「探偵夜話」より 著者:岡本綺堂
撃たれたように驚かされました。小林区署長の奥さんの関井三津子さんは、主人が公用で
出京している留守中に、何物にか惨殺されたというのです。わたくしはその新聞をじっと....
「花束の虫」より 著者:大阪圭吉
ていたし、茲数日後に瑪瑙座の創立記念公演があると言うので、関係者からはそれとなく
出京を促されていた為、一両日の中に帰京する筈になっていた。が、その帰京に先立って....
「一商人として 」より 著者:相馬愛蔵
着て配達の手伝いをしました。冬の休みを利用して仙台から中学生の甥も見学だと称して
出京し、安雄とコンビになって荷車の後押しや餅配達をやりました。 その中でのおか....
「三筋町界隈」より 著者:斎藤茂吉
ド、ゴールデンバット、パイレートの煙草の香も、負ぐせのついた若鶏の話も、陸奥から
出京した少年の心には同様の力を以て働きかけたものに相違ない。今はもはや追憶だから....
「良夜」より 著者:饗庭篁村
か、天下第一の大学者とならんと一詩をのこして新潟の学校を去り在所にかえりて伯父に
出京の事を語りしに、伯父は眉を顰め、「東京にて勉学の事は我も汝に望むところなり、....
「子規居士と余」より 著者:高浜虚子
子規庵その他で催される俳句会に出席して見ると思うほどの興味もなく、かつて春休みに
出京した時の句会ほど好成績も収められなかった。それに誰も皆気の毒そうな眼をして余....
「誓之巻」より 著者:泉鏡花
から、ま、今に覧てあげて下さいな。 電報でもかけようか、と思ったのに。よく早く
出京て来てね。始終上杉さん、上杉さんッていっていらっしゃるから、どんなにか喜ぶで....
「贋物」より 著者:葛西善蔵
た後で、先生はこんなことも言ったりした。 口不調法な耕吉に代って、芳本は耕吉の
出京の事情などひととおり述べた。 「それでは拝見しましょうか……」 若い弟子に....
「金山揷話」より 著者:大鹿卓
の工場を持ち、銀座裏の或るビルディングにその事務所を置いていた。同窓達は地方から
出京すると、時間の余裕さえあれば土田の事務所へ立ち寄る者が多いので、つまり土田は....
「松の操美人の生埋」より 著者:宇田川文海
慕の念に耐ず、一囘之を見聞せんと欲するや極めて切なり。去る十七年の夏、偶事に因て
出京せるを幸い、平素の欲望を達せん事を思い、旅寓に投じて、行李を卸すや否や、先ず....
「春水と三馬」より 著者:桑木厳翼
何時何処で父が購求したのか、つい聞洩して仕舞ったが、或は祖父の江戸土産を後年父が
出京の際郷里から携えて来たのか、とにかく私の物心ついた時から常に見慣れたもので、....