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出合
「出合〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
出合の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「玄鶴山房」より 著者:芥川竜之介
れども彼には眠りさえいつも安らかには限らなかった。彼は時々夢の中にお芳や文太郎に
出合ったりした。それは彼には、――夢の中の彼には明るい心もちのするものだった。(....
「疑惑」より 著者:芥川竜之介
。と申しますのは、唯今からざっと二十年ばかり以前、私はある思いもよらない出来事に
出合いまして、その結果とんと私にも私自身がわからなくなってしまいました。つきまし....
「邪宗門」より 著者:芥川竜之介
》の前で、折からあの辻をこちらへ曲って出た、見慣れない一人の沙門《しゃもん》が、
出合いがしらに平太夫と危くつき当りそうになりました。女菩薩《にょぼさつ》の幢《は....
「開化の良人」より 著者:芥川竜之介
いました。ところがその半月ばかりが過ぎてから、私はまた偶然にもある予想外な事件に
出合ったので、とうとう前約を果し旁《かたがた》、彼と差向いになる機会を利用して、....
「河童」より 著者:芥川竜之介
に非常に小さく見えたものです。そのうちに僕らは腰の曲がった一匹の河童《かっぱ》に
出合いました。するとラップはこの河童にちょっと頭を下げた上、丁寧《ていねい》にこ....
「或敵打の話」より 著者:芥川竜之介
拡がって来た。それにつれて一行の心には、だんだん焦燥の念が動き出した。殊に左近は
出合いをあせって、ほとんど昼夜の嫌いなく、松山の内外を窺《うかが》って歩いた。敵....
「お律と子等と」より 著者:芥川竜之介
》を鳴らしている。――その側を乱暴に通りぬけながら、いきなり店へ行こうとすると、
出合い頭《がしら》に向うからも、小走りに美津《みつ》が走って来た。二人はまともに....
「早春」より 著者:芥川竜之介
じゃ》の前に立った。この爬虫類の標本室はちょうど去年の夏以来、三重子《みえこ》と
出合う場所に定《さだ》められている。これは何も彼等の好みの病的だったためではない....
「素戔嗚尊」より 著者:芥川竜之介
に穴居《けっきょ》している、慓悍《ひょうかん》の名を得た侏儒《こびと》でさえ彼に
出合う度毎に、必ず一人ずつは屍骸《しがい》になった。彼はその屍骸から奪った武器や....
「少年」より 著者:芥川竜之介
ばならぬ。そう云う蟻には石燈籠《いしどうろう》の下や冬青《もち》の木の根もとにも
出合った覚えはない。しかし父はどう云う訣《わけ》か、全然この差別を無視している。....
「点鬼簿」より 著者:芥川竜之介
気のない灰色をしている。僕はいつか西廂記《せいそうき》を読み、土口気泥臭味の語に
出合った時に忽《たちま》ち僕の母の顔を、――痩《や》せ細った横顔を思い出した。
....
「妖婆」より 著者:芥川竜之介
はまだ眼の色を変えたまま、風通しの好い裏座敷で、主人の泰さんを前にしながら、今夜
出合ったさまざまな不思議な事を、小声でひそひそと話していました。二羽の黒い蝶の事....
「夢」より 著者:芥川竜之介
は割にしもた家の多い東片町の往来を歩いているうちにふといつか夢の中にこんなことに
出合ったのを思い出した。ペンキ塗りの西洋洗濯屋も、顔色の悪い職人も、火を透《す》....
「追憶」より 著者:芥川竜之介
には残酷ではないかと考えたりした。 三〇 大水 僕は大水にもたびたび
出合った。が、幸いどの大水も床の上へ来たことは一度もなかった。僕は母や伯母などが....
「歯車」より 著者:芥川竜之介
。僕はこのベエトオヴェンを滑稽に感ぜずにはいられなかった。…… そのうちにふと
出合ったのは高等学校以来の旧友だった。この応用化学の大学教授は大きい中折れ鞄を抱....