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出戻り
「出戻り〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
出戻りの前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「土曜夫人」より 著者:織田作之助
と引っ込み思案で、応召した夫が戦死したのちも、六つになる男の子と昔かたぎの姑と、
出戻りの小姑と一緒に暮すつつましい未亡人ぶりが似合う女であった。ガラガラしたしわ....
「わが町」より 著者:織田作之助
い良い、帰りは怖い」 などと、鼻歌をうたった。そして、水道端では、 「うち到頭
出戻りや」 と、自分から言いだして、けろりとした顔をしていたので、ひとびとは驚....
「古狢」より 著者:泉鏡花
の本山へ参詣の留守で、いま一所なのは、お町というその娘……といっても一度縁着いた
出戻りの二十七八。で、親まさりの別嬪が冴返って冬空に麗かである。それでも、どこか....
「竹の木戸」より 著者:国木田独歩
よ。第一あんな心持の優い人ったらめったになさるが人柄は極く好い方だし、お清|様は
出戻りだけに何処か執拗れてるが、然し気質は優しい方だし」と思いつづけて来てハタと....
「かれいの贈物」より 著者:九鬼周造
げた。敏子は山崎とも知合っているので村上はすぐにそこへ通させた。不幸な結婚をした
出戻りではあるがまだ三十になったばかりの美しい敏子はかなり派手な着物をすらりとし....
「淪落の青春」より 著者:坂口安吾
親身に迎えてくれたのは衣子だけで、然し八年の空白をおいて十六の女学生から二十四の
出戻り娘にうつると、これが同じ衣子か、さっぱり正体が分らない。 なるほど美人だ....
「金銭無情」より 著者:坂口安吾
娘をつれてきたといふ、娘は水商売に不馴れだから当分後見指南に当る由、娘は二十八、
出戻りで、一つも取柄といふものがない。なんの病気か知れないが痩せてあをざめて不機....
「桂馬の幻想」より 著者:坂口安吾
と、我慢ができなくなったらしく、 「あの茶店に二十ぐらいの娘がいますね」 「あの
出戻りかい。もう二十四五だろう」 「色の黒い、畑の匂いのプン/\するような娘です....
「私の小売商道」より 著者:相馬愛蔵
らない、ちょうど女の子が嫁入りすればその初縁を守ることが大切で、もし我儘を言って
出戻りすると、つぎつぎと劣ったところへ嫁ぐようになって、悲惨な最期に達する。それ....
「光は影を」より 著者:岸田国士
だよ。なんだ、そんなことか、別に、苦にするようなことじやありやしない。それとも、
出戻り扱いをする奴でもいるのか」 彼は、今がはじめてと言つていゝほど、この妹の....
「番町皿屋敷」より 著者:岡本綺堂
にさめて来て、釣合わぬは不縁の基という諺の通りに、嫁は里方へ戻された。そうして、
出戻りの侘びしい身の憂さを糸の調べに慰めているのである。思いなしかその爪音は、人....
「おせん」より 著者:邦枝完二
守様の妹御のお蓮様は、浜村屋の日本一の御贔屓なんだ」 「ではあの、壱岐様からのお
出戻りの。――」 「叱っ。余計なこたァいっちゃならねえ」 「へえ」 「さ、帰ンね....
「ある恋の話」より 著者:菊池寛
」と祖母は一寸云い憎くそうにしましたが、 「自慢じゃないけれど私は、子供を連れた
出戻りであったけれども、お嫁さんの口は後から後から断りきれないほどあったのですよ....
「わが町」より 著者:織田作之助
者の〆団治の家の掃除もしてやり、そんな時君枝は鼻歌をうたい、水道端では、 「うち
出戻りやねん。」 と、自分から言いだして、けろりとした顔をしていたので、ひとび....
「私の履歴書」より 著者:井上貞治郎
というのに、またもや満州以来のぼろ冬服に着替え、しおれ切って店を出ようとすると、
出戻り娘のお光ちゃんが物かげから手招きしている。そして私の手に電車の片道券をそっ....