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出歯
「出歯〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
出歯の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「ヰタ・セクスアリス」より 著者:森鴎外
うな風なのだから、金井君の疑惑は前より余程深くなって来たのである。 そのうちに
出歯亀《でばかめ》事件というのが現われた。
出歯亀という職人が不断女湯を覗く癖があ....
「ふもれすく」より 著者:辻潤
き燕を至るところで拵えるというような評判によってのみ世間へ紹介された。自然主義が
出歯亀によって代表されたのと少しも変わりはなかったのである。だが、昔キリスト教が....
「自叙伝」より 著者:大杉栄
早稲田を出て、その頃は研究科でたった一人で建部博士の下に社会学をやっていた、少し
出歯ではあったが、からだの小さい、貴公子然とした好男子だった。 ある晩、学校か....
「綺堂むかし語り」より 著者:岡本綺堂
どけの時などには、夜はうっかり歩けないくらいであった。しかし今日のように追剥ぎや
出歯亀の噂などは甚だ稀であった。 遊芸の稽古所と云うものもいちじるしく減じた。....
「猿飛佐助」より 著者:織田作之助
、しかし棚にあげて、 「打ちみたところ、眼ッかち、鼻べちゃ、藪にらみ、さては兎唇
出歯の守、そろいそろった醜男が、ひょっとこ面を三百も、目刺しまがいに、並べたとこ....
「工場細胞」より 著者:小林多喜二
のが、それを見付けて、いきなり二つ並んでいる頭を両方からゴツンとやった。 ――
出歯亀! 女の方で何か云いながら、一度にワッ、と笑い出した。すると、こっちでも....
「十二支考」より 著者:南方熊楠
吼の義という。翼生えた若い極醜女で、髪も帯も、蛇で、顔円く、鼻|扁《ひら》たく、
出歯大きく、頭を揚げ、舌を垂れ振るう。あるいはいう、金の翼、真鍮の爪、猪の牙あり....
「獄中記」より 著者:大杉栄
その翌日か、翌々日か、とうとう男三郎がやられたといううわさが獄中にひろがった。
出歯亀君
出歯亀にもやはりここで会った。大して目立つほどの
出歯でもなかったよう....
「めでたき風景」より 著者:小出楢重
て区別が出来る。しかし私はいつも感心していることは昆虫、犬、猫、虎、猿の類にして
出歯で困っているものや、鼻がぴっしゃんこで穴だけであったり、常に口をぼんやりと開....
「小さき家の生活」より 著者:宮本百合子
負の下働で、当時、H町で、隠居所を建てて居た為、彼は毎日顔を見せた。少し耳の遠い
出歯の、正直な男で、子供の居た先住の人が住み荒した廊下、障子、風呂場、台所の手入....
「大菩薩峠」より 著者:中里介山
う。 すなわち、この男は十四世紀の高師直《こうのもろなお》であったり、明治末の
出歯亀氏というような、女性に対しての一種の変態性慾を持っている男ではありません。....
「怨霊借用」より 著者:泉鏡花
この温泉町で、桜の盛に、仮装会を催した事があった。その時、墓を出た骸骨を装って、
出歯をむきながら、卒堵婆を杖について、ひょろひょろ、ひょろひょろと行列のあとの暗....
「狂人日記」より 著者:井上紅梅
顔を見られぬように頬かぶりをしていたようでもあった。ある者はやはりいつもの青面で
出歯を抑えて笑っていた。わたしは彼等が皆一つ仲間の食人種であることを知っているが....
「艶色落語講談鑑賞」より 著者:正岡容
へ生まれすぎたといえる。けだし世の中にはこうした場合がじつにしばしばあるものだ。
出歯亀。池田亀太郎の強姦殺人事件が全東京を震撼させたのは明治末年、亀太郎は大久保....
「思い出草」より 著者:岡本綺堂
が悪い。雪融けの時などには、夜は迂濶歩けない位であった。しかし今日のように追剥や
出歯亀の噂などは甚だ稀であった。 遊芸の稽古所というものも著るしく減じた。私の....