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「出盛り〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

出盛りの前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
右門捕物帖」より 著者:佐々木味津三
面《いけも》に銀波金波きらめき散って、座頭の妻の泣く名月の夜は、今がちょうど人の出盛りでした。 と――そこの池ノ端の柳の影から、高々と片手をあげて合い図したの....
母子叙情」より 著者:岡本かの子
切り込んであるオトシの上の食台に向っていた。窓からは柳の梢越しに、銀座の宵の人の出盛りが見渡された。 「イチロは、私たちが旅行に出かける前の晩も、私のうちへ送別....
春昼」より 著者:泉鏡花
と申します。 その上、宵宮にしては些と賑か過ぎる、大方|本祭の夜? それで人の出盛りが通り過ぎた、よほど夜更らしい景色に視めて、しばらく茫然としてござったそう....
日本文化私観」より 著者:坂口安吾
でメザシを焼いていた。 嵐山の渡月橋を渡ると、茶店がズラリと立ち並び、春が人の出盛りだけれども、遊覧バスがここで中食をとることになっているので、とにかく冬も細....
選挙殺人事件」より 著者:坂口安吾
次にトラックが止ったところはお花見の名所だ。晴天温暖の気侯にめぐまれて、お花見は出盛り。そのド真ン中で三高の演説がはじまったから、大変だ。 彼はその場所に応じ....
明治開化 安吾捕物」より 著者:坂口安吾
三十一日にタケノコを食う。これは女房の何よりの好物であった。もっとも女房存命中は出盛りの季節に食ってたもので、寒中にタケノコを食うゼイタクを鬼の才川平作が許すわ....
村芝居」より 著者:井上紅梅
を出した上になんにも食わないからだ。その時桂生はいいことに気がついた。羅漢豆が今出盛りだぜ。火があるからちょっと失敬して煮て食おう。みんなは賛成した。すぐ船を岸....
扉は語らず」より 著者:小舟勝二
――彼はガラス窓を透して夜を知らぬ地上の繁栄を眺めやった。八時半に近い。人の出盛りだ! 彼の胸には急に人恋しさ、灯の街恋しさの念が湧き上って来た。馬鹿らしい....
慈悲心鳥」より 著者:岡本綺堂
物についてなんにも知らざれば、予にはその当否の判断が付かず。ことに昨今は避暑客の出盛りにて、東京よりこの町に入り込みいる者おびただしければ、いちいち取調べるもな....
落語・教祖列伝」より 著者:坂口安吾
目の大祭には近郷近在から参詣人があつまる。ちょうど稚子舞いの始るころが、参詣人の出盛りだな。ドン、ドオン、と大太鼓を打ちならす。いよいよ稚子舞いが始まるところだ....
清心庵」より 著者:泉鏡花
あえぬに、人影山に入乱れつ。いまはハヤ朽葉の下をもあさりたらむ。五七人、三五人、出盛りたるが断続して、群れては坂を帰りゆくに、いかにわれ山の庵に馴れて、あたりの....
筍の美味さは第一席」より 著者:北大路魯山人
初春から、はしりものとして客の膳に出しているのが、すなわち、それである。その味は出盛り季節の美味ではないが、これはこれで一種捨てがたい風味があって、充分珍重に価....
若鮎の気品を食う」より 著者:北大路魯山人
その小味はたとえようもない。若鮎には気品の高さというものがある。その気品の高さは出盛り七、八寸――一人前の鮎に較べて問題でないまでに調子の高さがある。口ぜいたく....
家庭料理の話」より 著者:北大路魯山人
世間の人は、自分の身近にある有価値な、美味いものを利用することに無頓着のようだ。出盛りのさんまより場違いのたいをご馳走と思い込む、卑しい陋習から抜けきらないとこ....
早稲田神楽坂」より 著者:加能作次郎
うだが殊に今頃から真夏にかけては甚だしい。場所が狭いからということもあるが、人の出盛り頃になると、殆ど身動きも出来ない位だからね。』 『別にこれといって何一つ見....