出盛る[語句情報] » 出盛る

「出盛る〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

出盛るの前後の文節・文章を表示しています。該当する14件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
半七捕物帳」より 著者:岡本綺堂
五郎と松吉にささやいて、異人と二人の男とのあとを追ってゆくと、廓内はいろいろ人の出盛る時刻となって、ややもすると其の混雑のなかで相手を見うしないそうになったが、....
ネギ一束」より 著者:田山花袋
男女をあくがれしめたが、突然お作はこれとでき合って、こんなところはつまらぬ、人の出盛る温泉場に行けばもっとおもしろいことがあると、誘うも誘わるるも、行く水の思い....
うつり香」より 著者:近松秋江
づく電車通りにかけて年の暮れに押し迫った人の往来忙しく、売出しの広告の楽隊が人の出盛る辻々や勧工場の二階などで騒々しい音を立てていた。私はそんな人の心をもどかし....
暴風雨に終わった一日」より 著者:松本泰
、行こうよ」 などと急《せ》き立てたりした。 夏の暮れ方、蝙蝠《こうもり》の出盛るころになると新道は急に人足が繁《しげ》くなって、顔を真っ白に塗った若い女た....
道標」より 著者:宮本百合子
ファーネのために何をしたか、というアッピールをのせていた。 日曜日の午後、人の出盛る時刻にハイド・パークを歩くと、散歩道に沿った樫の大木の下に台をおいて、いろ....
残されたる江戸」より 著者:柴田流星
名となり、百五十年来の名所に二つの呼び名を冠するに至ったのだ。 花の向島に人の出盛る頃は更にも言わず、春夏秋冬四時客の絶えぬのはこの竹屋の渡しで、花の眺めもこ....
小春の狐」より 著者:泉鏡花
――十一月初旬で――松蕈はもとより、しめじの類にも時節はちと寒過ぎる。……そこへ出盛る蕈らしいから、霜を越すという意味か、それともこの蕈が生えると霜が降る……霜....
菎蒻本」より 著者:泉鏡花
に名高い、二七の不動尊の縁日で、月六斎。かしらの二日は大粒の雨が、ちょうど夜店の出盛る頃に、ぱらぱら生暖い風に吹きつけたために――その癖すぐに晴れたけれども――....
南地心中」より 著者:泉鏡花
ひしひしと、打寄する跫音の、遠巻きめいて、遥に淀川にも響くと聞きしは、誓文払いに出盛る人数。お珊も暮るれば練るという、宝の市の夜をかけた、大阪中の賑いである。 ....
柳営秘録かつえ蔵」より 著者:国枝史郎
1 天保元年正月五日、場所は浅草、日は午後、人の出盛る時刻であった。大道手品師の鬼小僧、傴僂で片眼で無類の醜男、一見すると五十歳....
幕末維新懐古談」より 著者:高村光雲
なるのはおかしなものです。 当日の夜はまた一層の人出で、八時から九時頃にかけて出盛る。今日のように社の前を電車が通ってはおりません。両方がずっと田圃で、田の畷....
凍雲」より 著者:矢田津世子
わしであった。 町の目抜き通りの上町下町をとおして、両側に、物売りが並ぶ。人が出盛る。 この物語りは、漸う山々が白くなりだした頃からはじまる。この頃の季節に....
釘抜藤吉捕物覚書」より 著者:林不忘
わせるように、藤吉はひとり打ち興じていた。黄色い灯が大格子の縞を道路へ投げて人の出盛る宵過ぎは、宿場ながらにまた格別の風情を添えていた。吸いつけ煙草に離れともな....
俗臭」より 著者:織田作之助
論である。 半月も経った頃だったろうか、確か上塩町の一六の夜店の時だった。人の出盛る頃に運悪い夕立が来て、売物の扇子を濡らしてはと慌てゝしまいこみ、大風呂敷を....