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出遅れ
「出遅れ〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
出遅れの前後の文節・文章を表示しています。該当する10件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「競馬」より 著者:織田作之助
訊けば、五番だという。そうか、やはり五番がいいかねと、五番の馬がスタートでひどく
出遅れる癖《くせ》があるのを忘れて、それを買ってしまうのだ。――人々はもはや耳か....
「虞美人草」より 著者:夏目漱石
いて、また出直すと、同時同刻に向うでも同様に出直してくる。両人は出直そうとしては
出遅れ、
出遅れては出直そうとして、柱時計の振子《ふりこ》のようにこっち、あっちと....
「新世帯」より 著者:徳田秋声
隅へ入れてやった。 「そのうちには己も行くさ。」 「真実に来て下さいよ。」お作は
出遅れをしながら、いくたびも念を推した。 お作が行ってから、新吉は物を取り落し....
「黴」より 著者:徳田秋声
その晩も、近所の婦人科の医者へ行って診てもらうはずであったが、それすら億劫がって
出遅れをしていた。 「私のこと……。」 お銀は手紙を読んでいる笹村の顔色で、す....
「旅愁」より 著者:横光利一
た東野に、「結構です、どうぞ。」と矢代は頭を下げたが、いつもこういう場合に自分の
出遅れる性癖を見せつけられた思いも強く、暫くは自己嫌悪を覚えあたりがぼっと暗く狭....
「露肆」より 著者:泉鏡花
第に流の淀むように薄く疎にはなるが、やがて町尽れまで断えずに続く…… 宵をちと
出遅れて、店と店との間へ、脚が極め込みになる卓子や、箱車をそのまま、場所が取れな....
「歌の円寂する時」より 著者:折口信夫
ろ ことしは寂しい春であった。目のせいか、桜の花が殊に潤んで見えた。ひき続いては
出遅れた若葉が長い事かじけ色をしていた。畏友島木赤彦を、湖に臨む山墓に葬ったのは....
「二葉亭追録」より 著者:内田魯庵
行家の第一資格たる向う見ずに猪突する大胆を欠いていた。勢い躍り出すツモリでいても
出遅れてしまう。機会は何度来ても出足が遅いのでイツモ機会を取逃がしてしまう。存命....
「宮本武蔵」より 著者:吉川英治
た。そうすると、約束の戌の下刻は、もうやがて迫っているところだが――と思う。
(
出遅れたな、武蔵は)
伝七郎は、白い夜を見まわしながら、ただ独り、燃え残りの焚....
「三国志」より 著者:吉川英治
念していたことであろう。 けれど、甘寧としても、指をくわえて見てはいられない。
出遅れたので、彼はあわてて、腰なる鉄弓をつかみとり、一矢をつがえて、ちょうッと放....